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◇東光西風【国連において平和な世界へ近づいて行くための17】

安心して暮らせる世界共通のゴールを目指す

東光西風 SDGs

 近年の世界的な急速度の発展は、人類社会への多大な恩恵をもたらすと同時に、環境や人間に悪影響を与えることもありました。将来への危機意識の高まりから、国連において安心安全で平和な世界へ近づいて行くための17の目標を定めました。

持続可能な世界の実現のために

 昨今、SDGsという言葉をよく耳にします。皆さんは官庁街やイベントでSDGsのロゴをかたどったカラフルなドーナツ型のバッジをスーツにつけている人を見かけた人もいるのではないでしょうか。SDGs(エスディージーズ:持続可能な開発目標)とは、持続可能な世界の実現のために定められた世界共通の目標のことです。持続可能な世界とは、現在私たちが生活している中で数多くの課題に直面しており、それを解決し、将来の世代が安心して暮らし続けて行くことができる社会のことです。この社会の実現のために、貧困、紛争、気候変動、健康・福祉などの課題に向け17の目標(ゴール)を掲げており、2015年の国連サミットにおいて全会一致で採択され、2030年までに達成することを目標としています。

 SDGsの母体となったのは、2000年から2015年にかけて進められたMDGs(ミレニアム開発目標)で、発展途上国を対象に貧困や飢餓、差別の撲滅など8つの目標を掲げ、国連やNGOなどの公的機関を中心に進められました。しかし、MDGsが掲げた目標に対し一定の成果は出ましたが、ほとんどの目標は達成されないまま終わりました。MDGsの反省を活かして、継承した枠組みとして策定されたのがSDGsです。

東光西風 SDGsバッジ 

SDGsのロゴをかたどったバッジ17色のカラーは17のゴールを意味している。

日本でのSDGsの認知度は低く
生活と結びつかない目標もある

 SDGsの最大の特徴は、途上国だけではなく先進国を含めて全ての国が対象となっています。また、政府や公的機関だけでなく、企業も活動に参加することができ、今では多くの日本企業が取り組み始めております。

 しかし、このSDGsの認知度は2020年3月に朝日新聞社から公表された数字は32.9%で過去最高になりましたが、2019年9月の世界経済フォーラムの調査では、日本国民のSDGs認知率は世界で28番目となっており、世界平均の74%と比較すると国内ではまだまだ浸透していない状況です。それは目標と私たちの日常生活が結びつかないこともあり、例えば目標2には『飢餓をゼロに』とありますが、まだ食べられるものを廃棄するフードロスが問題になっている日本では、この目標は他人事に聞こえます。逆に『ジェンダー平等を実現しよう』は、東京五輪組織委員会の森発言でも浮き彫りになった、女性蔑視問題はわりと身近に感じる人が多いのではないでしょうか。諸外国にとっても同様で、貧困に苦しむ毎日を送る人たちからすれば、環境問題やジェンダー平等は絵空事に過ぎず、このように、発展途上国と先進国を同じ視点で考えようとした事によるズレが生じているのです。

目標の達成度を上げるには
国益中心の発想を改めること

 各目標を見ると、先進国では当たり前のように議論されている軍事力の抑制やLGBTの権利の保護などが入っていないのです。SDGsは193カ国の国連加盟国の全会一致で採択されていますが、アメリカ・中国・ロシアといった国家が合意できないような目標はあらかじめ排除しておき、全ての国が合意できるような内容になっています。

 やはりアメリカや中国が本気でSDGsの目標に向かって行かなければ理想の世界にはなりません。現実には経済大国でGDPが1位のアメリカはSDGs達成度ランキングで31位、2位の中国は48位、3位の日本は17位の状況で、国益を中心に考えていたら、2030年にはまだまだ目標達成には至らないでしょう。理想をいくら掲げても人や国は現実面にぶつかれば自己が優先するもので、それでは社会が良くなるはずはなく、他者を優先する心を以て行動することが大切です。身近なこととして、環境に配慮したエネルギーの無駄遣いをやめる、食品ロスを無くす、偏見や差別を持たないなど、いろいろとあります。

 国家の指導者層が変わるのが早道ではありますが、まずは私たちが身近な目標を立てて行動する。自分だけではできない物事でも、代わりに行動する人を応援し周りにSDGsの考えを発信すること、一個人からどういう関わりができるか考え続けるということが、人類全体で17の目標に向かっていけることではないでしょうか。 
                            (都筑重信)

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