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サクラクイ  (期間限定公開終了)

 

サクラクイは、闇から生まれます。

象の鼻のように長い口から、

小さな長い舌を出し、

アスファルトの上の花びらを

ひとひら

ひとひら

風のようにさりげなく

集めて食べて葉に変えます。

木は、葉という鱗を腕に体にまとって飾り

新しい一日を待つのです。

そして日が昇る頃、

サクラクイは、朝焼けに溶け死にました。

 

 つづく……

 

※「サクラクイ」全編は、セリザワケイコ詩集「音の蛹」に収録されています。

 

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