ネコ助20番目の恋人

わたしの名前はネコ助です。

誰がつけたか知りません。

最初の恋は隣の庭に。

2番目と

3番目は

順序の記憶が曖昧で

4番目は物知りでした。

5番目も物知りでした。

7番目は物知りでした。

8番目も物知りでした。

中略

16番目は美しい毛並みで

17番目は美しい声で鳴いて

18番目は美しい背中で

19番目は美しい牙でわたしを噛みました。

20番目の恋は、わたしを運命と呼びました。

会うのはいつも屋根の上。

あなたの瞳の真ん中が 満ちて欠けてまた満ちて

映るわたしが 太って痩せてまた太り

ぎこちなく触れるヒゲの先

耳の後ろあたりで帰りたいと思いながら

尻尾をくっつけ爪を研ぐのが

楽しみでなりません。

ピカピカ光る爪のひとつずつ

今までの恋に捧げます。

そしたらこれが

最後の恋になるでしょう。


わたしの名前はネコ助です。

誰がつけたか知りません。

あなたが呼んだ名前なら

それがわたしになるでしょう。




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