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河川堤防の地盤改良で検討する事項

河川堤防を地盤改良し強度を高める必要性について説明します。堤防とは、流水が河川外へと流出することを防ぐために設けられる施設で、盛土で造成された堤を土提と呼びます。堤体に軟弱地盤があれば沈下やすべり破壊の恐れがあるため、対策を検討します。

河川の地盤改良 攪拌状況
河川の地盤改良 攪拌状況

堤防の設計にあたって考慮すべきこと

土提を含むすべての河川堤防の設計は以下の条件を満たすことが求められます。
○護岸や水制その他の施設と一体にて、計画高水位以下の水位において流水の通常の作用による侵食および浸透ならびに降雨による浸透に対して安全である機能を持つ。
○自重による沈下およびすべり破壊などに対して常に安全であるのに加え、地震の際に流水の河川外への流出を防ぐ機能を持つ。

堤防は大洪水が発生する度に嵩上げや拡幅を行ってきた経緯があります。また、時代ごとに材料や施工方法が違うので、堤体の強度が均一でないのです。さらには、基礎地盤が昔、河川の作用でかたちづくられた地盤であって、その性質が複雑であることをよく考えなければなりません。
複雑な基礎地盤上に築かれた長大な構造物・堤防は、不同沈下を起こしやすい特徴があります。このため、不同沈下に対する修復がやりやすいことが求められます。基礎地盤と堤体とに一体性があってよくなじむこと、拡幅や嵩上げがしやすいこと、堤防が損傷した際の復旧が簡単で,しかも短い工期で完了できることなどの条件を満たすよう設計する必要もあります。
河川が備えている多様性に富む自然環境を考慮し、堤防が自然環境の一部となり、環境および景観と調和することも重要です。材料や構造物が劣化しにくく耐久性があること・材料を確保しやすく維持管理しやすいこと・事業の実施で地域に与える影響・公衆利用が可能な場所たりえるかということまで考え合わせます。 

軟弱地盤等は特に注意が必要

特に注意が必要なのが、軟弱地盤や透水性の高い地盤です。堤防の設計は、これらの特殊な地盤と一般的な地盤とを区別して考えます。
一般的な地盤は水がしみとおりにくく、圧密沈下が起きにくい地盤です。堤体の材料の選定とその材料に応じた締め固め度で施工することで、堤体の安全が十分に成立します。
これに対して、軟弱地盤と透水性の高い地盤は、より一層の注意が必要となります。軟弱地盤はすべり破壊や圧密沈下が懸念されます。また、透水性の高い地盤では堤体の漏水やガマ(漏水孔)の発生、市街地側での法面におけるすべり発生を予測しなければなりません。 

堤体の液状化対策

東日本大震災では多くの河川堤防が被災し、堤体自体が液状化したことに端を発する被害が多く見られました。平時のうちに堤体の液状化対策を行うべき箇所を選定しておくべきことやその方法を検証するべきこと・対策を検証するべきことが認識されることとなりました。
液状化対策の手順は、まず耐震性能照査を行って対策を行う必要性の有無を判断します。必要に応じて地盤調査を実施し、区間の細分化および代表断面の設定を行ったり、耐震性能の再照査を行ったりして、対策の必要性を検討します。対策が必要と判断されれば設計・施工した上で維持管理するという手順です。
軟弱地盤や透水性の高い地盤は液状化の恐れも高いため、併せて対策を検討する必要があるでしょう。

軟弱地盤を安定させる地盤改良

軟弱地盤や透水性の高い地盤は、地盤改良によって安定性を高めることができます。また、地盤改良は液状化対策としての効果も認められています。
地盤改良工法の選定にあたっては、地盤および堤体の透水性について十分に検討します。さらには、地盤の土質や構成、堤防の高さ・形状、材料・工期などの施工条件、周辺環境、経済性などもよく検証しなければなりません。
河川堤防は人々の暮らしを守るための重要な施設なので、慎重に検討を重ねて確実な対策を打つ必要があります。長年の実績があるセリタ建設に堤体の地盤改良もぜひお任せください。

 


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