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地盤改良と河川 現場の課題と施工管理

地盤改良を河川周辺で行うのは、危険性を除去する目的です。例えば、橋梁をはじめとした構造物の均衡を保つためであったり、地震が起こったときに近隣地域のリスクを低減させるためであったりします。住民への配慮・環境への配慮・効率性が工事の必須条件です。

河川の地盤改良 固化材散布状況

事例1.橋梁の新設・架け替えに際して危険をとり除く

橋梁の新設や架け替えで、当該地域の地盤が軟弱だったら、さまざまなリスクが想定されます。橋台が側方移動するリスクや地盤沈下が起きるリスクなどです。強度の小さい地盤の上には、当たり前の橋梁、すなわち安心して通過できる橋梁を築くことさえ難しいという事です。したがって、橋梁を築く前に、まずは周辺部を地盤改良して強固な地盤に更新させることが、橋梁の安全のために満たすべき条件となります。

事例2.地震が起こっても液状化しにくい地盤にする

土砂が積み重なって陸地となった低湿地や埋め立て地が住宅街となっているのは、この日本において珍しいことではありません。低湿地や埋め立て地においては、液状化を発端とする地盤沈下や、側方流動と呼ばれる地盤の移動による、構造物の傾斜および沈下が起こる可能性がたいへん高いことが指摘されているのです。また、道路や埋設管が多大なダメージを受けることもしばしばあります。地下水位が高い・歴史が浅い・地盤のゆるい土地は、液状化の危険性が極めて大きいといえます。河川沿いの地盤が液状化すると、地盤が流動して河川の背後から河川の側に動き、水平変位が大きくなる事態を引き起こします。

河床下の地盤改良は、地震への備えとしての効き目が認められています。河床下の地盤が強固であれば側方流動が生じず、地震による被害を抑えられるのです。地盤改良した上で、河川護岸と連結させることで、よりいっそう高い効果が期待できます。

地盤改良工事で向き合うべき課題

河川や近辺における地盤改良工事は、河川を一時的に埋めてから施工することもあるものの、周囲に与える影響が大きいので、水を堰き止め河川の流れを一時的に変更したり、台船を使ったりするなどの対応をとることもあります。台船を用いる場合は、河川の幅に対して台船の幅が動かしやすいサイズかどうか検証しなければなりません。

地盤改良では大型の機械を用いることもありますが、地盤があまりに軟弱なために機械が沈み込んで現場で動かせない事態も起こりえます。この場合、本体の地盤改良工事の前に、まず仮設足場工を行って機械のトラフィカビリティを確保します。仮設足場工では、現場をもとに戻すのが比較的容易な工法を選ぶなど、柔軟な対応が不可欠です。

この他にも、施工中の排泥で河川が汚れないよう、排泥を河川に広がらせないように策を講じます。例えば、ポンプで排泥を吸い上げて仮設ヤードの水槽に送り、運搬車で運びだすという具合です。

地盤改良における施工管理・品質管理

施行中は下流の水のpHを測定して河川を汚していないかどうか確認します。pHの測定結果を確かめるのに加えて、目視によるチェックを行います。

また、施工する区域とその一帯で動態観測を行って、施工中の地盤変位が生じていないかどうかを確かめます。さらに、排泥量をしっかりつかんでおくことで、過度に排泥を生じさせないよう尽力します。

ひととおりの工事を終えてから、試供体で一軸圧縮試験を行い、設計基準強度を達成できていると認められれば工事は完了です。

セリタ建設においてはデジタルによる施工管理を実践しており、施工情報を車載モニターでリアルタイムに把握できるシステムを構築しています。施工中のデータは帳票出力でき、出来高管理の資料として利用できます。情報化施工を活用した安定品質の地盤改良工事を行う当社に、ぜひご相談ください。

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