アットホームロマンスを読んで

これ。

この作品はシンプルにいうと、ファミリーコンプレックス(マザコン、ブラコン、シスコン、ドタコンも少し?)を扱ったコメディ作品です。ファザコンだけは一切ない。

高校生当時は、主人公が一人暮らし始めたところから雑誌で読みはじめました。が、大人になって、1から読むと思うことが結構出てきたなと。

ストーリー

ストーリーとしては、主人公である竜太郎があまりにもマザコン過ぎた+父親がくずすぎたので、母親がマザコンが治る+父親がプロレスラーとして再起するまで、実家に帰るといって家をでます。
で、母が帰ってくるようにどうにかしないとなんですが、姉である暁子はブラコンで甘やかそうとしてくるドタバタ劇。その過程で、友人とかがシスコンだったり、友達に母性を見出したりと。

コメディ部分としては、ブラコンとマザコンが強い。というか、2巻半ばまでは、そういう感じのちょっとHなコメディです。コメディなので、本当にどうにかして恋愛感情にしようというのはありません。
竜太郎は、彼女にするならママが良いなぁとは言いますが、実際にそうしようとする描写はないですし、暁子も付き合うというより、甘やかしたい赤ちゃんにしたい+変態という感じで。所謂インモラルな恋愛関係はないです。2巻半ばまでは。

さて、2巻半ばまではと書いているのですが、なら2巻終盤と最終巻はどうなんだ、という話になるます。
個人的にはここからが好きで、ファミリーコンプレックスが主軸ではありますが、ここから人間関係やそれぞれの重いが動き出し、成長して変わっていく、本格的に物語が動き始めます。

竜太郎はシスコンになりますし、暁子は男として竜太郎に惹かれるシーンもあります。
主人公はマザコンを止めるのは俺の人生の全否定、でも、マザコンやめないと戻ってこないと本格的に悩みはじめます。結局、竜太郎は甘えているだけだった自分に気づき、ママの期待に応えるマザコンになると決意を固める事で、一人暮らしを決意します。

今までなら、暁子は止めるなり一緒に住もうとするなりするのですが、最終的に、「女」ではなく「姉」である事を考え選び、寂しいながらも送り出します。

マザコンとは

主題としては、ブラコンマザコンというのが「一緒にいたい」「甘やかすor甘やかされる」という関係で描かれていたのが、最終的には「幸せを願う」「応援する」という点に変わります。まぁ、ある意味では正常な関係ではあるのですが。

竜太郎は、母親が出て行ってから数年(最低4年以上立っていると思われる)、独り立ちをしていても会いに行きませんでした。
おそらく、竜太郎の中で本当に立派になったと思えるまで、会いに行かないことにしていたんだと思います。
で、実家に帰り母親と対面するのですが、「母さんの自慢の息子になる事が俺の人生(マザコン)です」と言い張ります

高校生当時は、マザコンという情報がなかったので意味不明で、今読んでも最初は?となったのですが、冷静に考えるとそうかもしれないなと。


親が期待しているから立派になろうと、自慢の子供になろうと考えて行動している人って少ないと思うんですね。お金を出して貰えることとか、育ててくれていることとかに感謝こそすれど、少なくとも母親を基準に考えてはいない。

で、ある時、結婚式とか子供が出来た時とか。親という存在に自分がなるという頃合いに、ふと自慢出来る子供に慣れただろうか、思えば迷惑をよくかけていたな…と考え始めるのではないでしょうか。

自分は好きなように生きて、結婚前になってから、自分が立派になれただろうかと考えはじめましたね。
それまで、好きに生きていたことを考えると、かなり甘えていたとは思いますが、一緒にいたいと思ったかというとそうでもないという。

ブラコンとは

暁子は弟Loveのままではあるのですが、それでも、弟の成長を見守るという形になっています。暁子に取っては、成長して進んでいく弟の背中を見守る、押してあげるのがブラコンだったんですね。

まぁ、自分はシスコンでもブラコンでもないので、あれですが。
確かに、姉という存在に甘やかされていた部分もあるものの、弟であるという点で心配されていたという点は、結構思い当たるんですよね。

なんでもかんでも解決したり、甘やかすというわけではないのですが、親と喧嘩した際に擁護してくれたり。自分に弟妹はいないので、感覚的にはわからないのですが、見守られていたのかなぁと。

父親について

結婚したからか、ここが結構刺さります。

父親は働く気は一切なさそうだったのですが、プロレス道場はずっと開いていたんですよね。が、とあることを契機に道場を畳み、工事現場で働くことにします。働くことになっても大好きな酒は飲むのですが、かなり控えめにするんですよね。

未練や好きなものを辞めてでも、親だから子供のために。という主人公の親。

逆に、ヒロインであるなっちゃんの両親はV系のバンドをしていて全国飛び回っており、なっちゃんは一人暮らしをしているのですが、それは一緒に暮らしていたら両親が自分を気にして好きなことを出来ないからという理由です。

どちらも親としてはカッコいいと思うんですよね。子供に配慮する必要はありますが。

子供のために色んなものを犠牲にするというのも1つの生き方だと思いますし、逆に子供が憧れるような、夢の中で親でいるというのも1つの生き方だと思います。(なっちゃんが親に憧れる描写はなかった気がしますが、趣味とか写真飾ってることを考えると大好きなんじゃなかろうかと。)

母親の言葉

竜太郎の母親である明美。この人の言葉で2つほど心に刺さっている言葉があります。

1つは、「母さんと彼女がけんかしたらねぇ、何があっても彼女の肩を持ちなさい」という言葉。

高校生当時から、この言葉はかなりの印象に残っている。というのも、私の家が実際にそうだったから。
まぁ、詳細を書く気はないのですが、私の母親と父の実家が喧嘩したんですよね。で、まぁ、父としては母を選んだと。

離婚というのもあったかもしれないレベルで、当時色々ゴタゴタはしていたらしく(自分は鈍感すぎて気付いていなかった)。実際、父の実家とはかなり疎遠になり。

まぁ、今の価値観と自分の価値観だと、母が悪いというのは100%なく、(その人は絶対責めないと思いますが)責めれる人間はただ一人でも、古い考え方をしているタイプだと、母のが悪いと考えそうなんですよね。

で、うちの父親は古い人間だと思うのですが、それでも、母を責めず、父の実家と疎遠になることを選んだんですよね。もちろん、子供という存在もあったのかも知れませんが。

そういうこともあって、私は両親にはかなり弱いというか、喧嘩する位なら即折れるタイプなのですが、妻と実家が喧嘩したら、絶対に妻の味方をしようと。父がそうしたのだから、文句は言わせんぞ、と高校生でも思った気がします。

2つめが、「大好きな人の前で男の人って、とってもかわいくなるんだもの」という言葉。この言葉に対して、父親や息子を思い出しています。
その際に、「母ちゃーん、俺のパンツしらねぇか?」という主人公の父親を思い出します。

(まぁ、実際、それを可愛いと思うかは夫婦によると思いますし、私は「妻」ではないので間違っているかも知れませんが。)

私の父親って、どちらかというと亭主関白よりですし、外ではしっかりしているサラリーマンという感じなのですが、確かに、家の中だと甘えている感じはあるんですよね。

いや、そりゃパンツ取ってくれーとは言ってない…多分…なんですが、冷酒取ってくれー頼むとか何だとか。

後は、記憶にある限りでは、自分でもわからないレベルでテンパったことがあるのは妻の前だけだったり。トイレが壊して、水が吹き出た時でも、そんなことなかったのに。

男っていうのは、妻の前では弱くなる、甘えたくなる生き物なのかな、と。

オタク的な感想

千明、千草の姉弟がつぼなので、もっと出て欲しかったなぁ、と。個人的には、ここが正常かつ重度のシスコンブラコンな気がしています。

まぁ、最終的には他の姉弟は、それぞれの家庭を持ちそうだなーと思いますが(持てるか怪しいのが1名いますが)、この二人は結婚せずにそのまま行きそうな感じがして仕方がないんですよね。謎。
少なくとも、千明は暁子に興味を持っていたので、そう思う理由もないのですが。この二人だけ、ラストでも一緒にいるから…?

確かに、竜太郎姉弟は、女や男として惹かれていたのを解消しており、物語としては、一時の気の迷いとも言えなくもなく。(この表現が的確ではないとは思いますが、他の表現が思い浮かばない)

慎之助姉弟は、そもそも褒めたい、ぶたれたいなので、普通の姉+マゾなので、そういう関係でもなさそうで。

ただ、この二人だけラストも一緒にいるし、千明君とかなぁ。なんか、他のは所謂ファンタジーなんですが、この二人だけ普通にシスコン、ブラコンとしてあり得そうなボーダーラインにいるから…?

いやぁ、クール系弟とぽんやりした姉がね、一緒にカフェ経営とかね。そりゃみたいですよ。

まとめ

こういうのもなんですが、高校生当時のこの漫画は、ラストは何か雰囲気良さげですが、絵の上手い姉フェチ漫画という感想しかありませんでした。

で、ちょっと前にAmazonで安かったので購入し、全部読んでみると、思ったより感じることがある漫画だな、と。

それは、社会人になって結婚して…自分の人生というより他人、子供の人生を考え始めないといけなくなったからかも知れない。
もしくは、家庭を持ったからかも知れない。高校生の頃って、家族をちょっとうざったく感じることもありましたしね。

竜太郎が立派に独り立ちしてプロポーズするのを見て、はて、自分はどうだろうかと。そう言えば、父母や姉という存在は、自分をどう見ていたのだろうと。

家族で一番下の私は常に心配されていたな、と。今の私は立派に独り立ちしましたと、言えるだろうかと。

この漫画は、それぞれの家族のスタンス、姉として、父として、母として、マザコンとしてが描かれていて、ちょっと色々考えてしまった。


初めて、4000文字を超えるnoteとなったんですが、まさか最初にそんなに書くのが、アットホームロマンスとは思いもしなかった。

本当に、当時はハマらなくて、絵がうまいなー位にしか思ってなかったんだけどなぁ。今なら、好きで好きでしかたなかったGAとかよりも書けている気がする。

追記

タグ付しようとして、漫画評とかないのかなと思った。


このnoteで興味を持つ人いるの?とは思うのですが、一応。

2巻中盤(52Pの覚醒ママイズム)辺から、心情の変化が現れます。それまでは、普通に、マザコン、シスコンコメディです。

まぁ、序盤でマザコンが気持ち悪いとか感じると終盤まで肌に合わないと思うのですが、最後まで読んで欲しいなと。

というか、ある程度脳内で補完して読める人なら、3巻のラストレターか読み始めても良いかと。そこからが本当に動き始めるので。その後に、1巻から読み直せば良いかなー、と。1巻の雰囲気は3巻の序盤3話に近いですね。

本当は、1巻から読むことで、竜太郎の成長っぷりを感じられるのでそちらの方が良いのですが。後、3巻から読みだすと、シスコン卒業物語に見える。実際にはマザコン貫く物語なのですが。

高校生の頃に最後の方を読んでいなかったら、この漫画を1巻の途中でやめていなかっただろうか?と考えると、それでも良いのかなと思いました。後、キララ系は単行本一冊高いですしね。一番おすすめの3巻から読んで、面白ければ全巻買うでも良いのかなーと


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?