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自然崇拝論のおかしさ

最近「人間は自然を破壊し続けてきた、人間さえいなければ完璧な自然界が保たれるのに」とか「なんて人間は醜いんだ、自然界の動物達の方がずっと美しい」みたいな自然崇拝論をよく聞く。

私は性善説が嫌いで、基本的には人間そんないいもんじゃないと思ってるけど、かといって人間よりも自然界の方が完璧で美しいとする自然崇拝論もおかしいと思っている。
人間だけが自然をそこまで破壊し続けてきたという証拠を聞かないし、自然界の方が基本的に優生主義で厳しい場所だと思うからだ。

まず人間が自然界を破壊し続けてきたというけど、具体的にどのくらい破壊してどんな被害が出てきたのか、それが人間以前の世界よりもずっと多いという証拠を記述しているものはほとんど無い。

生物が生活している以上、資源を消費するのは他の生物も同じだし、自然界は基本的に、自然淘汰で適応出来ない生物は消えていく、厳しい世界なのだ。

人間が生まれる数億年前から数多の生物が生まれては消え、沢山の絶滅種が出てきた。それを超える程の絶滅種を人間の影響で出した、というエビデンスがあるなら人間ってひでぇ生き物だと言ってもいいと思うが、どう考えてもそんなことないじゃん。

地球に生物が生まれたのが約40億年前、人間が生まれたのは600万年くらい前だっけ?人間の歴史なんて他の先輩生物の歴史の40分の1以下な訳だ。そこまで多大な影響が与えられるという方がおこがましい。

あと、自然界の方がずっと美しい論も、どこのお花畑を見て言ってるのだろうと思う。

有名な話では、新しく群れを乗っ取ったライオンは自分の遺伝子を優先して残す為にメスの連れ子は皆殺しにしてしまうという。
ライオンよりずっと小さく可愛いハムスターも、産まれた我が子を選別して、奇形や障害を持つ子供は育てようとせず、最後には食べてしまう。

パンダの母親は双子を産んでも、大きくて元気のいい子しか育てる気がなく、小さい方は地面に置かれたまま冷たくなって死んでしまうか、巨大な母親の体の下敷きになって死んでしまう。そもそも母パンダの母乳は1人分しか出ないのだという。
我が子を強さで選別するというのだから、とても優生主義的だ。人間界でやったら大問題になる。

自然界がそんなに素晴らしいと思う人は、そこで暮らしてみてから言って欲しい。病院も警察も生活保護も無いからね。

怪我や病気が酷ければ仲間からも見捨てられるし、治療も出来ない。家族が殺されても訴える場所も無い。

そんな世界は嫌だから、人間は文明を築き上げて優しくなるよう努力してきたのだ。
その恩恵を享受しておきながら、のうのうと自然界のが美しいとか言う資格無いと思う。

あと、ナチスも自然には優しかったらしいしね。有機農法を推進したり、実験動物の人道的取り扱いを主張したり。きっと人間嫌いだから動物には優しかったんじゃないかと。

自然崇拝したがる人は根本に人間嫌いがあるからなのかもしれない。

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