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「郷に入りては郷に従え」で自滅する日本文化

日本人は海外に出ても「郷に入りては郷に従え」の精神で、自分達の文化や性格を押し殺してまでその土地に適応しようとする人が多い。
他国に移民した日本人がその国の国民性を紹介するサイトでも、「こちらの男性は自立した女性が好きだから専業主婦にはなれない、働いて自活出来ていないと相手にされません」等とやたらと圧迫的な書き方がされる。

結婚関係も相手との交渉次第なのだから、一切専業主婦がいない訳でもないだろうし、相手と話し合って決めればいいことだ。
「働く女性を尊重する男性が多いので、家事も分担してくれる素敵なパートナーを見つけましょう」みたいな書き方も出来るのに。
何事もお互い様の選び合いなのだから、自分だけが選別される側ではないはずなのに、「従順にその土地に適応しないと選ばれないぞ」と個人にばかり圧力をかけるのだ。
すごく自己消滅的で、自殺的だ。

明らかに仏教の欲望否定や「無我」の思想が裏目に出た過剰適応だと思う。
同じアジアの民でも中国人とかは欧米にも中華コミュニティを作ったりしている。それを「他国の文化を尊重せず、自分達の文化を貫くなんて傲慢だ」と批判する日本人もいるようだが、他国にも自分達のコミュニティを作っておくことで、後から来た同胞達も生きやすくなるのではないだろうか。

それに他国での日本人コミュニティ作りを否定したがるのが保守の人が多いのも、日本の倒錯している点だと思う。
普通は保守の方が他国に行っても「俺らの国の文化がどれだけ素晴らしいか、お前らにも見せたる!」と言って自国のコミュニティを作りたがるものではないだろうか。

「郷に入りては郷に従え」を押し付けることで、外国に行く日本人は日本文化を捨てることになるのだから、むしろ文化縮小を自分から望んでいるようなものだ。
そもそも無我とか、宗教思想自体が自滅的なのだから、消滅することこそが伝統と言えるのだろうけど。
消えることを保守するってなんだよ、形容矛盾だ。
「私たちは消え続けることを誓います!」みたいな笑。

保守もリベラルも、民主主義の文明社会になってようやく始まる概念なんじゃないかと思う。
ある程度自分の国の文化が成熟して他国との外交が確立した上でないと守る必要が無いから。
日本かーは明治時代以降初めて文明社会化したと言えるから、保守の唱える伝統って大体この頃からのことだと思う。
それで欧米かーに劣等感を持つ日本かーは世界最古の国だとか言いたがるんだけど、私はむしろこれだけ短期間の内に近代化を成し遂げたことこそ褒められるべきことだと思うな。

「郷に入りては郷に従え」の郷は、そもそも国のことでは無いんじゃないかと思う。
江戸時代の日本は藩毎に異なる文化を持っていて、それぞれが別の国のようなものだった。
完全に推測だけど、違う藩に行く時にその藩のルールを守らなければ紛争になったり処刑されたりしただろうから、作られた諺なんじゃないだろうか。
あと、藩を跨いで嫁ぐ時に夫の家のしきたりを守るように教えるための嫁入り文化だったのでは。

国と国を跨ぐ時に右翼が教えるべき言葉ではないと思う。

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