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Decade -5-

2021年。
男子バレーボールを現地で見るのを何よりも何よりも楽しみにしていた私は無観客試合になったことでテレビと映像配信でその勇姿を見ることしかできませんでした。

2021年5月の紅白戦を見たとき、オリンピックで戦うチームの輪郭が見えました。それは私がイメージしていたものとは大きく違っていました。1年という時間がもたらしたものの大きさを感じる瞬間でもありました。

新しいチームで日本は新しい歴史の扉を開き、29年ぶりにオリンピックの予選を突破しました。そのキーになったイラン戦に勝ったとき、2016年にOQTで負けてから少しづつ進化してきたチームの道のりが頭に浮かび涙が止まりませんでした。

このオリンピックで彗星のように現れて活躍し、そこからたった丸2年でチームに欠かせないもう一つの軸になった髙橋藍という存在を私が意識し始めたのはオリンピックではなく9月のアジア選手権でした。当時、20歳になったばかりの彼がこのチームのために自分が強くならなくてはということを意識しているのでは?ということを感じたからでした。
何かを背負うことを覚悟した人の眼差しを見た気がしてグッと引き込まれました。羽生さんや祐希さんのように彼が何を成し遂げるのかを見届けたいと感じていました。


本気の推しが3人。
それが私が10年をかけて手に入れたものでした。

2022年になってもまだコロナの影響はいろんなところにありました。海外で活躍する選手たちを見に行きたいと思ってもまだまだ気軽にいける環境はありませんでした。だから、北京オリンピックもテレビで見る選択をしていました。それは羽生さんにとっての3度目で最後のオリンピックでした。

彼は今までのオリンピックとは違う挑み方をし、4Aを跳ぶことを目標にその場所に立っていました。思いは成就しませんでした。難しいことを誰よりも知っていたのは本人だったのかもしれません。2022年7月にはこの10年、追いかけてきた羽生さんが競技を離れてプロスケーターになると発表し、推し生活の中で初めて競技の世界から離れる推しを見ることになりました。

今も羽生さんのことは大好きです。
アイスショーに出るならどんなプログラムを滑るんだろうと楽しみではあります。それでも、私はヒリヒリする戦いに挑む姿が好きだったんだなと思うこともあります。あの瞬間でしか見えないものがたくさんあったからかもしれません。そしてこのシリーズの冒頭にも書いたように彼は新しい人生を2023年8月に歩み始めました。彼にはたくさんのものをもらってきたので、何も返すことのできない自分はただ彼が幸せになることを願っていましたから、心からおめでとうという気持ちです。

試合に出る彼を応援することはできなくなりましたが、新しい挑戦をし続ける彼の人生を応援するモードにじんわりと切り替わっていくのだろうなと感じています。

私にとって「推し」はその人の人生のドラマを見続けたい特別な人です。できれば可能な限りでそのリアルな活躍を見続けたいし、その活躍を応援したいというそんな気持ちです。

そんな状況でも私にとって幸せだったのはまだこれからもそのチャレンジを応援することのできる2人の推しがいたことかもしれません。



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