Starting Over, again
勝ちたかった。
勝つつもりだった。
相手がたとえオリンピックの金メダリストだとしても。
VNLの優勝者であっても。
コートに立った全員が勝つつもりだったと思います
最後のボールが落ちるその瞬間まで。
予選突破が決まって、対戦相手がフランスに決まったとき、どれだけの人がこの接戦を予想したのだろう? グループ2位通過だったのに一番、当たりたくない相手と決まったと多くの人が感じてたと思います。
本人たちはそれでも勝つことしか考えていなかったんじゃないかな。
どうやったらこのチームに勝てるだろうかと選手一人一人が、スタッフ全員が考え抜いて、準備してこの日を迎えたと思っていました。
それでも1セット目を見たとき、VNLファイナルの試合がちらつきました。
びっくりしたのは2セット目からのリカバリ。
VNLから劣勢から自分たちのペースを取り戻し、彼らの戦いっぷりは一歩も引かないその姿勢を最後まで見せてくれました。
長い試合の中ではうまくいかない瞬間もあったけど、それも含めてチームで乗り越えていくという気持ちが伝わってくるようでした。
思えば怪我からの回復途中だった石川キャプテンはこの世界選手権に入って予選の初戦のスターティング6には選ばれませんでした。
大学生コンビ「たつらん」が対角でスタート。
ほんの少し前だったら「石川祐希」がコートに立たないなんて不安しかなったけど、二人の活躍は素晴らしかったです。
頼もしい二人が初めての世界選手権でもそれを感じさせないプレーでチームを勝利を導いてくれました。
敬意を込めて今年は「たぬきオヤジ」と呼ばせていただいるブラン監督はその間にも石川祐希の試合感を戻すために、カタール戦で少しづつ交代で出し、ブラジル戦で劣勢になっても次の試合のために出し続け、キューバ戦で機能するところまで持っていく計画を着々と進めていました。
頼もしくてクレバーで熱い指揮官。
全てがパリに続く道。
最後までどちらが勝ってもおかしくない試合でした。
それぞれは今もてる全てを出し切った試合だったのだと思います。
それでも勝利にはちょっとだけ何かたらなかった。
ほんのちょっと。
私がものすごくものすごくものすごく悔しかったから、コートに立っていた選手たちはもっともっともっと悔しかったと思う。
掴みかけた勝利がその手から落ちていく瞬間はどんな気持ちだったのでしょう。
試合が終わった後のインタビューでのブランさんの真っ赤な目を見て、
彼がどれほどチームと共に戦ってきたのかということに胸を打たれたり、
すぐに冷静に自分の弱さに言及できる石川キャプテンが率いるこのチームはもっともっと強くなった姿をまた見せてくれるはずだと信じられました。
この代表シーズン。
VNLで5位でファイナルに進んだこと。
世界選手権で予選を突破したこと。
フランスにフルセットまで持っていって勝ちそうだったこと。
全ては彼らが手にした結果です。
決して全てが順風満帆ではなかったですよね。
コロナに選手が罹ったり、怪我があったり、選手がチームから離脱したり、万全じゃないなかチームが一丸となって勝つことにこだわったプレーを見せ続けてくれたと思っています。
きっと、キャプテンはまた強くなってこのチームに戻ってくると思うし、
若い選手たちは試合ごとに進化を見せてくれて驚かせてくれると思うし。
コートに立ってる選手だけでなく、リザーブにいた選手も、スタッフも同じように戦えるチームに次もなると思います。
この敗戦がパリオリンピックへの伏線になるはず。
そう信じられる試合でした。
ありがとう。
龍神NIPPON。
次に見るときはもっと強い龍神NIPPONが見れるはず。
この敗戦は次へ向かうためのターニングポイント。
約束の場所にたどり着くための通過点。
自分たちの強さを探す旅の出発点。
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