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お天道様ノ掴み方-❷ 真夏の果実ハ-

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お天道様ノ掴み方- 11

お天道様ノ掴み方- 11

「話したいこと?」
「・・えっとね?何というか、その、夕君に、見せたいものがあるの・・」

見せたいもの?一体、何だろう。
響のやつは、それだけを僕に言い終えると、ちょいっちょいっと、指で合図をし-

「家・・って、わかるよね?」

「まあ・・当然だ」と、言わんばかりの顔を、僕は、彼女に見せつける。

久しぶりに訪れる幼なじみの家は、かれこれ十年以上は経っているであろうその時間の隙間を、一体どう埋

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お天道様ノ掴み方- ⑩

お天道様ノ掴み方- ⑩

(場面 変わる 放課後)

五時限目も無事に終わり、僕は、あとの残った二人を気にしつつも、早々と、帰路に立つ準備をしていた。あの時感じた頭の痛みは、もう、無い。

(気をつけるんだぞ?)

ふと、また、あの時の会話が頭に込み上げてくる-

全く・・僕もそうそうに「変」だな。と、自分の、そんなおかしな部分を、持ち前のその精神論で「なんでもなかった」と誤魔化しては、いそいそと、玄関前に、向かっていた。

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お天道様ノ掴み方- ⑨

お天道様ノ掴み方- ⑨

「いっただっきまーす♪」

(場面 変わる 昼休み 屋上)

昼休み-

僕にとっては、よくやく「憩い」の時間がやってきた。

既に、僕らにとっては相変わらずといった光景なのだが、今日は「非常に天気が良い」ということなので、僕たちは、この学校の屋上で、日がな一日、昼食をとろうとする計画に話が持ち込んだ。

面子は、もう言わずもがなで分かるであろう、響、健の、計三人だ。

僕らは、四時限目に「これで

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お天道様ノ掴み方- ⑧

お天道様ノ掴み方- ⑧

(場面 変わる 校舎 運動場)

時間は過ぎ、四時限目が始まった。
科目は、そう。「体育」だ。

「これで次は昼休みだ・・ヨシ・・・」と、僕は、三時限目までに浪費していたであろうその体力に向かって、体へと言い聞かせる。

僕は、教師に自分の出席番号を呼称されながらも「半ば体育なら楽勝だ」と、正直、意気揚々でいた。

だが、しかし-

「えー、本日は天気が良いので、長距離を始める!皆あ、気い抜かるな

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お天道様ノ掴み方- ⑦

お天道様ノ掴み方- ⑦

(場面 変わる 教室)

「えー、であるからしてー」

授業中-

黒板に書かれていくチョークの音だけが、僕を唯一、その授業の内容に、集中をさせる。

教師の話しは、教科にもよってだが、ほとんどが眠くなるだけで、もれなくつまらない。

僕は、右肘を机に突き、頬を手のひらで押さえながら、半ば、聞いているのか聞いていないのか、よくわからない姿勢でいた。

そう・・。これはきっと「夏のせい」なんだと自分

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お天道様ノ掴み方- ⑥

お天道様ノ掴み方- ⑥

「真夏の果実ハ-」

(朝 鳥の囀り)

..ピピピピ..ピピピピ..ピピピピ..ピピピピ(目覚まし時計の鳴る音)

翌朝- 午前、7時半

昨日セットをしておいた目覚ましの時計の音が、僅かながらに聞こえてくる-

ピ..!(目覚ましを止める音)

「朝か・・」

気だるいが、ごく至って普通な、夏の朝が始まりを告げた-

「おはよう〜」
「遅いわよ?もう何時だと思ってるの?」

そう言われながらも

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