ポル・ポトって誰だよ。カンボシア渡航記

昔とあるネット論客が言いました。ポル・ポトって誰だよと。
その方はおそらくツイッターでの批判が目的だったのでしょうけれども、ポル・ポトというのは思った以上に人々に知られた存在だったようで(当然)酷評されてしまいました。僕もまあカンボシアで大虐殺を行ったこと自体は知っていましたが、正直なところ詳細までは知りませんでした。そこで、タイの隣国カンボジアの首都、プノンペンに行ってみることにしました。
カンボジアといえばシェムリアップのアンコールワットだと思いますがそちらは年末年始に行ってみたいなと思っています。

観光ビザ取得

カンボジアに入国するためには観光ビザの取得が必要になります。
空港で30ドルを支払えば入手できるのですが、手続きの過程がとにかく分かりにくく面を食らいました。
パスポートを渡す場所、お金を支払う場所、そしてビザを押されたパスポートを受け取る場所が全て別々で、受付の人も10人くらいいてどこに並べばいいかよく分かりませんでした。
それぞれが一つの作業を担当しているように見えたんですが、パスポートの確認をしてビザを押す業務など、どんなに細かく分解しても三人いれば十分でしょう……それで効率よく捌けているならともかくしっかり待たされたし。まあ、「これが東南アジアだな」という感じはありますね。

ウドン

王宮回りやキリング・フィールド、トゥルースレン収容所に関しては1日あれば回ることができるので 1日目はウドンに行ってみました。
タイやシンガポールを含め、東南アジアの独特の街並みは都市化で少しずつ見られなくなってきているのですが、カンボジアの田舎ではその原風景がまだしっかりと残っていて、それが僕にとっては良かったです。

アンコール・ワットで有名なクメール王朝の後、フランスの植民地となるまえの1618年から1866年まで日本で言うと江戸時代と同じくらいの時期の遺跡もタイや日本の寺院と違った雰囲気があって良かったなと思いますね。

中でも少し気になったのは血の涙を流している豚ですね。何を持ってこのいたずらはされたんでしょうか。

首都プノンペン

首都プノンペンは東南アジアの地方都市くらいの栄え具合で、夜になると街の明かりは少ないのに車のライトはやけに光っているのが印象的でした。

ちなみに街を走っている車は型式の古いレクサスが多かったです。
左ハンドルなのでアメリカから来た中古車なのでしょうか? 整備状況はよくなさそうではあったので、廃車寸前の車が回ってきているように見えました。

この日、入ったバーでは日本フェアをしていて、天狗の鼻がバナナになった絵と天狗等の妖怪をイメージしたカクテルがありました。

せっかくなのでそのカクテルを頼んでみましたがバナナ感はあまりなく、ライムの味が強かったです。なぜ。
ちなみに映っている刺身盛は25ドルしました。高い。

キリング・フィールドとトゥルースレン博物館

カンボジアでは1975年から1979年に急進的に共産主義を推し進めたポル・ポト率いるクメール・ルージュが大虐殺を引き起こしています。
都市部に住む専門職や僧侶等いわゆる知的階層が虐殺の対象となり、当時のカンボジアの人口の約4分の1程度が犠牲となりました。
その代表的な処刑場がキリング・フィールド、当時高校を改装して作られた政治犯収容所S21の跡地がトゥルースレン博物館です。
クメール・ルージュとポル・ポトについてもっと詳しく知りたい人はこちらのnoteを見るといいと思います。
また、「キリング・フィールド」というそのままのタイトルで映画にもなっているので観てみるといいと思います。

キリング・フィールドに入るとサトウヤシの木が目に入ります。
ヤシの葉はよく見るとギザギザしていることが分かります。キリング・フィールドではヤシの木を鋸代わりにして処刑に使ったようです。
ここでは銃弾は高価で貴重だったため、鉈や鍬、鎌、竹槍、五寸釘など身近なものが処刑に使われていました。殺傷能力の低いそれらのものによる処刑は苦痛もより大きかったと思います。

被害者の人骨や服も残されており、生々しさがありました。

これはキリング・ツリーと呼ばれています。クメール・ルージュはこの木に乳幼児の頭を打ち付けて殺していました。
発見時、この木には血や脳みそがついていたそうです。こうした処刑の多くは少年兵によって行われていました。
またキリング・フィールドでは常に革命の歌が大音量で流されていました。処刑をするときの叫び声を隠すためです。当たり前の日常を突如失い、理不尽に命を奪われたことを想像すると言葉にできない辛さがありました。

トゥルースレン博物館

トゥルースレン博物館では改装された高校、急ごしらえで造られた独房、拷問室、カンボシア大虐殺の資料を見ることができました。
受け入れ先の調整をせずにプノンペンから強制移民をさせたことで大量の餓死者を出したり、自白を引き出すために吊るし上げて気絶したら糞尿の入った水に頭をつけて起こしたり非人道的なことが行われてきたことが分かりました。

まとめ

カンボジア大虐殺は世界史的な事件としては知っていましたが、実際に現場を見て初めて感じるものもあり、行ってよかったと思います。
トゥルースレン博物館の来場者を見るとカンボジア国内に比べて海外からの観光客はまだまだ少ないようですが、カンボジアの負の歴史を知り後世に残していくためにも多くの人に来てもらいたいと思いました。

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