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剣道の美学?なぜ面技は最も美しい技とされるのか考えてみた




1. 一番遠いところにあり、時間的に避けられる可能性が高い

面技は、打突部位の中で最も遠い位置にある「面」を狙う技。一番遠いということは、打突するまでそれだけ時間がかかってしまうということである。剣道は、0.1秒で勝負が左右される世界であるため遠いというのは、打突する側からすると不利になってしまう。相手は時間的な余裕があり防ぐことができたり、応じ技を出せる時間的な余裕も生まれる。面打ちを成功させるには、間合いの駆け引きや相手のタイミングを外す必要があります。この「避けられる可能性の高い」技でありながらも決めることで、観る者を魅了し、剣道家の技術の高さを証明する瞬間でもあります。

2. シンプルな動きゆえに、洗練された技のため魅了される

面打ちは、その動きがシンプルでありながら、無駄のない洗練された技となることが多いです。
正確な足さばき、体幹の強さ、竹刀の操作が一致したとに出す面打ちは、他のどの技よりも美しく見えます。
技がシンプルであればあるほど、相手との駆け引きに勝ち、自分の気持ちにも打ち勝ち、最高の技となります。
打ち手の技術や身体の使い方が如実に現れるため、その完成度が高ければ高いほど見る人を魅了します。


3. 間合いと機会が完全に一致しないと決まらないため

面打ちは、適切な間合いと「機会」を完全に見極めなければ決まりません。
相手が十分な気位ですと、技は通用しません。
相手の動きに対して一瞬の隙を捉える必要があり、そのタイミングがわずかでも外れると避けられたり返されたりします。
この絶妙なタイミングの判断が求められる面打ちは、技が決まった瞬間に、その一撃に至るまでの全てのプロセスが美しさを生み出します。
間合いと機会が見事に一致したときの面打ちは、剣道の技の中でも特に際立つ美しさを持つのです。


4. 面技の最高試合

見たことある人なら、衝撃を受けた人も多いと思う試合があります。
それがこちらです。

全日本選手権2003年決勝「近本巧×安藤戒牛」

剣道日本チャンネル

これこそ、面技の最高の試合だと私は思います。
全日本の決勝において、両者が面技しか出していない。
こんな試合は他にはありません。
素晴らしいの一言ですね。


5. まとめ

面打ちは、剣道における技術と精神が詰まった技であり、単なる一つの技を超えた存在です。
一番遠い打突部を狙い、間合い・機会・タイミングが重要なこの技は、その難しさと美しさがまさに醍醐味。
シンプルでありながら、間合いと機会を読み切った時の面打ちは、剣道の美学そのものです。
試合においても、面打ちが決まる瞬間には独特の緊張感と美しさがあり、多くの剣道家にとって究極の技であることは間違いありません。

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