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仙豆? カラカラ梅干し 母との想い出

父が亡くなって一周忌だったかもう忘れた。
それは、兄弟姉妹が母の居る実家に揃った時だった。
ひと通り何か終えたのだろう、皆がリビングで談笑して さぁ帰ろうかという段に
おもむろに、母がらっきょう漬けの瓶を出して来て瓶のガラス越しに見える中身を指さしながら
梅干しが何年も漬け込んだらこうなった。
と言って、誰か持っていかんね。
と、言い終わらないうちに姉二人は拒否の口ぶり。
兄は呆気にとられ無言。
どう見ても梅干しではない瓶の中身。
いびつなアーモンドの塩漬け?
っていうくらい塩分が梅の表面に付着していた。

母は 塩を効かせてるから腐ることはない。と口にするとダンマリ。

…どげんね、持っていかんね
という言葉は呑み込んでるように
母は無言。

兄弟姉妹の皆は知らないのだ
この塩を噴いた梅干しの力を

私が飲みすぎて体をこわした折りこの梅干しの茶漬けにどんなに救われたかを。

こんなに大量にまだあったのかと
私は驚きで見つめるばかりだったのに
姉たちの心ない高笑いが逆に
 (えっ これ誰も貰わないなら私が全部貰っちゃっていいの?)
期待マックスに胸踊ってたんだよね。

私はやっと口を開いた。
兄弟姉妹で分けて持って帰る? と。

誰も持って帰ると言わない。
「あんた、もらっとけば」
どちらかの姉が言った。
(ラッキー!) (^-^≡^-^)
文句無しに独り占め達成!

母もやれやれ一つの肩の荷を降ろしたような安堵感を見せた。


梅焼酎の余りを転用したのか

早速、自宅に持ち帰り
息子とカーナさんに
お披露目。

見た目ではやはり、二人とも兄弟姉妹と同じリアクション。
しかし、湯呑みに一粒入れて湯を注いでしばらく置きふやけた所を小さじで実をほぐしてやると梅の香りが。

さすが我が息子。 わかってるね~。

一口飲んだ息子は
「おっ! いけるんじゃね!」
「仙豆!」
カーナさんは、ドラゴンボールとか全く圏外の人。
一口飲んだか匂いを嗅いだかあやふやだけど
ま~認めてるような態度。
(姉たちよりまだ許せる反応で安心😊)

仙豆ならぬ我が家の「仙梅センズ,センバイ

一旦焼酎で漬け込んで天日干しにしてカラカラにさせたようだ。
2~30年もの。

息子は網で椎茸を焼く度におばあちゃんを思い出すという
美味しいという程、椎茸を焼いて出されて食わされたと。
私と母 そしてここにも母の姿を記憶する息子。

安堵した母の背中を妙に思い出す。

(*ˊ˘ˋ*)。♪:*° 缶  2024.09.11

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