「もう遅い」は、命を奪わない
「もう遅い」と思いなさい。
ある人が、教えてくれた。
「もう遅い、諦めなさい」
これは決して、全て捨てろと言ってないぞと
注意書きを添えて。
何かを始めたり動きだしたりして
間違わないわけがない。
でも、
「間違えたくない」
「完璧にやりたい」
「完璧にやらなくちゃ」
いつ録音されたのか、
頭のテープからひっきりなしに聞こえてくる。
はいはい。
完璧にやりたいのはわかった。
でも、最初からは無理だって。
いつもそうやって無理強いしては
出来なければ全消去って
してきたんじゃないか?
はいはい。
間違えたくないのはわかった。
なら、なるべく間違えないよう
慎重に行こうよ。よく調べようよ。
それでも間違えたなら、
ちゃんと振り返り、もう一度調べよう。
同じことを繰り返さないように。
出来ることって、それだけ。
完璧にやるとか一切間違えなしってのは
出来ないから、
なるべくそれに近づくように
そっちの方を向いて行く。
間違えたなら振り返って、
何がどう間違っていたかちゃんと認める。
自分が悪けりゃ自分が悪いし、
相手が悪けりゃ相手も悪くて
自分も悪いからそこである意味合致した。
雑に、自分だけが悪いと決めつけない。
相手だけが悪いも同じく雑な見方だ。
きっとまた間違うだろう。
そして、最も気をつけるべきは、
間違いを正統化することだ。
こんなこと絶対やっちゃいけない。
それはそれで仕方なかったとか、
そうするしかなかったとか、
それが最良の選択だったなどと
無理矢理まとめるな。
雑に終わらせちゃいけない。
なんとなく綺麗な感じにしておこう
だなんて、都合良すぎだろ。
そういう都合の良さは、
決して許してはいけない。
認めて反省しないことは最低だ。
ちゃんと認めるから、
ちゃんと一旦の区切りがつき
"やり直し"というものが出来る。
ちゃんと終わらせてもないのにまた初めても、
どうせまた同じことをする。
そんなのやり直しじゃない。
ぐちゃぐちゃ中途半端を
乱立させていくだけだ。
間違いをちゃんと認めないのは、
もうそれでいいって、
間違っていく自分だけを認めている。
これは自分を見捨てることだ。
人だって平気で傷つける。
傷つけてしまっていることにも気づかずに。
「もう、今更遅いよ」
そう口にしたってことは、その通りだよな。
だがその意味を間違うな。
何に対してもう遅いのか。
あの時こうしていたら良かった
でも、出来なかった。
出来なかったことが悔しい。
悔しいが、もう遅い。
"あの時の間違い"を、
そうじゃなくさせることは出来ないから。
そういう意味で、もう遅いんだ。
正統化するってのは、
この「もう遅い」を
そうではなかったことにするんだ。
改竄だ。すり替えだよ。ずるいじゃないか。
こうできたらよかったが、
やらなかった、できなかったと
認めないといけない。もう遅いと。
ただ、もう遅いから終わりだ、
もうやんないとか、なかったことにして、
はいじゃぁ次ってするのか?
正統化する奴らと一緒じゃないか?
なんなら正統化してる奴の方が
身軽に生きていくだろう。
間違いを認めた上で、
その部分を次はこうしていくと決める。
もう一度、やり直す。
この過程で言う「もう遅い」。
一旦終わらせ、また始める。
なのである意味、まだ終わってないし
遅い早いの話ではないとも言える。
正統化したり、放り投げたり、雑に処理して
ありもしないものにすがりつく..
こんなことを諦めるんだ、「もう遅い」と。
何だか諦めがつかない、迷う..
それでしんどくなってしまうくらい。
なんでそうなるの?
それくらい一生懸命だったからでしょうが。
それくらい一生懸命やってた自分がいたからだ。
だから、
間違いをなかったことにするなんて、
一生懸命やってた自分に対して失礼だ。
だからまた、考えやり直す。
自分が何に悔やみ、何を諦め、
何を諦めないかを分かった上で。
むやみやたらに
前向きに行こうだなんて言葉で
強引に進めない。
雑を許すな。丁寧に見ろ。
「もう遅い」を
簡単に吐き捨てる奴は
どうせ何も一生懸命やってなかったか
何も大切に出来ない奴だ。
いちいち足取りが重くなる
あなたの「もう遅い」と一緒にするな。
だからたとえその言葉で
全部捨てる人がいても、
自分は捨てないでいるんだ。
こう気づけた時、
「もう遅い」の言葉に、
全部意味なかったんだ..とずんー..と
落ち込んで動けなかったのが、
違うじゃないか、と思えた。
もちろん、間違ってた自分を
正当化するっていうのでもない。
間違えることに甘えるんでもない。
「人は間違うもんさ〜」とケセラセラするんじゃない。
むしろ、
悔しくて、もう繰り返したくないと
もはや怒ってるから、そのことに。
心底その間違いを憎むことで、
見えてくるものがあるということだ。
意味あるものに変えてやる..
掃除しても意味ないところを掃除してた。
でも、そのせっせと掃除する
その腕や掃除の仕方は、
じゃぁ次は意味あるところに使ってやるんだ。
掃除しても無駄にならないところにな、と。
「もう遅い、諦めなさい」
これが全てを白紙にする言葉だと
誰が決めたって言うんだよ。
雑に見るのは楽だ。
しかしそれは、全てを切り裂き殺す。
細かく精査しないと。
「もう遅い」が、生きない。
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