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PEACEを添えて天国へ

年明け、1月27日に祖父が急逝した。

年始に挨拶をしに行った際、
妊娠していることを伝え婚約者を後日紹介した際に
すごく喜んでくれて親戚中に初ひ孫ができたと自慢していた祖父。

私は初孫で6人いる孫の中で唯一の女。
古い考えを持つ祖父に二十歳を超えてから常に結婚をしろと
口うるさく言われていた。
そんな私の結婚が決まった矢先に、亡くなった。

死因は大動脈瘤破裂。
亡くなった当日、体調が悪くかかりつけ医に車でいった祖父は
医者にここでは診れないので総合病院に行ってくれと言われ
叔母と一緒に総合病院に行った。その時点で大動脈瘤と言われ
いつ破裂してもおかしくないと言われた。

すぐに父に連絡が行き、私にも連絡が来た。
近いうちにまた行かなきゃねっと話したところだった。

帰宅し、祖父母、叔父、叔母とリビングで
今後の生き方について話し合いをしていたらしい。
祖父はいつものように特等席に座り、新聞を読みながら
コーヒーを飲み、PEACEの噛みタバコを咥えていた。

誤飲をしむせてしまったらしい。
その衝動か、破裂した衝動でむせたかはわからない。
恐れていた大動脈瘤が破裂したのだ。

病院に行った当日にまさか、破裂するとは誰が想像できただろうか?
祖父は誰にも迷惑かけることなく、大好きな家族が居合わせた場で
最後まで嗜好品を嗜み亡くなった。

そのころの様子はあくまで聞いた話だが、
祖母をはじめみなパニック状態だったのでよく覚えていないそうだ。

翌々日。
葬儀が行われた。
祖父は、綺麗な顔をして眠っていた。
あんなに楽しみにしていたひ孫の顔を見ずに亡くなった。



地方だが事業を営み、一代で大きな会社を作った祖父。

畑を耕すことが好きで、野球場くらいの大きさの畑でたくさんの
農作物を育て売るのではなく、親戚中に季節の野菜を配っていた祖父。

運転が好きで毎日2時間はドライブしていた祖父。

読書が好きで先人からたくさんの知恵をもらい蓄えていた祖父。

古い考えもあるが決して口出しはしない、素敵な祖父。



つい最近会ったじゃん。
急にどうしたの?私の結婚に安心しちゃった?


終息してきたとは言えまだコロナ禍だったのでそんなに人は来ないと思っていたが、たくさんの人がお別れに来てくれた。

たくさんの花と愛と惜しむ声に囲まれて祖父は
棺の中で冷たいまま眠っていた。

棺の中には、
愛読書、好きだった緑茶、太鼓のバチ、はっぴ。
そして口元には医者にやめろと言われてもやめなかった大好きな
PEACEのタバコ。

きっと1箱じゃ足りないよね。
天国では好きなだけ吸っていいよ、そのかわり
いつまでも私たちの平和を見守っていてね。

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