ピアノと私の話

愛の夢第3番は練習開始から1週間ほど経ち、一応通しで弾けるようになった。でもまだまだ理想には程遠い・・・

先生のレッスンを受ける前と後でどうなるか動画を撮っておいた。レッスンで良くなるかな。

さて、たまたま友人が娘さんにピアノを習わせたいが、娘さんが全然ピアノに興味を持たないという話をしていた。そういえば、私はなぜピアノを始めたのかと、ふと思った。

私は小学1年生から個人教室に通い始めたが、自分から習いたいと言った記憶はない。きっと親が習わせたくて習わせたのだろう。

ピアノ教室はなんだかんだと高校3年生まで通うことになるが、最初の6年間は空白に等しい。もう一つの習い事がとても忙しく、ピアノの練習を家でほとんどしなかった。家のピアノは、タッチが軽く強弱もつけられない電子ピアノだったのも理由の一つかもしれない。先生のところに行って初めてピアノに触れるなんて今から考えると本当にひどい。こんな不真面目でも、親も先生も一度も怒ったことはなかった。当然、上達するはずもなく、同年代の友だちよりも明らかに簡単な曲しか発表会で弾いていないことは気づいていた。それでも別に悔しいとも思わなかったし、親も「やる気がないなら辞めなさい」とも言わなかった。

私が中学1年のときに電子ピアノの音が鳴らなくなった。電子ピアノは家電と同じだからいつか必ず壊れる。それを機にピアノを辞める・・・のではなく、新しい電子ピアノを買ってもらった。新しい電子ピアノは前のものとは違い、強弱も少しつけられたし、音が生ピアノに近づいた。それがきっかけでやる気が出て、家でも練習をするようになった。先生に与えられた課題以外も、自分で楽譜を買ってこっそり弾いたりもした。練習すれば弾けるようになるし、なぜか前の日に弾けなかったところが、寝て次の日になると急にさらっと弾けたりする。勉強はものすごく努力をしたけど、ピアノは少しの努力でどんどん上達するのを感じて、自分にはピアノの才能があるに違いないと思っていた。中学1年でギロックの小品集しか弾いてなかったのに、2年後の発表会でショパンの華麗なる円舞曲を弾いた。本番でコーダの部分をブーニンばりに速弾きをして、先生をドキドキさせたのもいい思い出。

一応ピアノ教室では一番弾ける生徒だったので、高校2年生の最後の発表会は生徒のトリをつとめ、ショパンの幻想即興曲を弾いた。(今ビデオをみると表現力の乏しいイマイチな演奏だけど)

そして大学入学後、ピアノ部に入った。大学に入ってからピアノを始めた人から、コンクールで入賞経験のある人まで、いろいろなレベルの人がいる部活だった。私は経験者ということで、弾けるつもりで自信満々で入ったけど、レベルが全然違った。私は確かにピアノ教室では一番上手だったかもしれないけど、それはまさにに井の中の蛙状態だったのだと気づいた。大学から始めてまだ数年の人のほうがよっぽど上手。そして習っていた人はずっと遠いところにいる。私の十数年はいったいなんだったんだろう・・・才能があると思っていたのに。自信はボロボロに砕かれ、初めてピアノで挫折感を味わった。ほかにもいろいろな理由があって、ピアノ部は1年で辞めてしまった。

実家の電子ピアノは埃をかぶり、上に物が置かれている。自分がピアノを弾いていたことも忘れていたが、引っ越しを機に新しく電子ピアノを買い、ピアノ部を辞めて15年後に再びピアノを弾き始めた。大人になってからのピアノは子どものころとはまた違う。仕事や子育ての合間にしか練習できないから色々と効率的にできないか考えながらやったりする。電子ピアノはメリットもあるのだけど、突き詰めると音色の点で壁にぶち当たった。結局アップライトピアノをレンタルして、今は家に2台のピアノがある状態。

ピアノが弾けて本当によかった。ピアノは人生の中の大きな楽しみを与えてくれた。子どものころに真面目に練習しなくても、全然上達しなくても何も言わず続けさせてくれた両親と、ピアノの先生に心から感謝している。

もちろん自分で弾いてるだけでも楽しい。でも本当は、だれかに聴いてもらいたい。

そして、いつかコンクールで入賞するのが夢。

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