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大魚を逃がした事案

自ら隊当時の話、当時も検挙検挙とうるさく言われていたある当番日のこと。

当日は実績がある程度、午前中から上がっていた。

深夜、ミニ検問で免許証不携帯を発見、今一つ、脇締めて詰めていれば最後に大物を捕まえ、多分、被疑者移送で手配県まで行けたのに逆に脇の甘さを指摘された一件。

ツイている時はイケイケでやった方が良いという教訓。

その日の当番勤務は午前中から快調で二人乗りの中学生を停めれば自転車盗、午後からは無免許運転、同ほう助を検挙、夜間には薄暮検問で酒気帯び運転を検挙、という風に刑法犯、悪質交通法犯を良く捕まえた。

相勤者と満足しつつ、最後の警ら時間に深夜ミニ検問を実施、そこに20代女性の運転する普通車、停車を求め、運転免許証の提示を求めるも不携帯との回答。

北陸地方の者でこちらの親戚に来ているという話。その際、無線で本人の申し立てる人定で照会、即回答あり、自動車運転免許所持者であり、無免許運転ではないが家出人にもヒットという照会センターからの回答、付随して帰署後、連絡をせよと謎かけのような一言。

ここで脇を締めていれば良かった。

この家出人、実は薬物の密売を生業として指名手配された男の情婦であった。見かけは普通の感じで化粧っ気もない、服装も至って地味な感じで悪の情婦には見えなかった。

指名手配した県警では数年来血眼で探している大物薬物犯。情婦からたどれば大物指名手配犯を御用にできたはず。この重要な情報を知らずに警察署の方に同行。

警察署一般当直に身柄を引き継ぎし、親族に身柄を引き渡してもらうことにした。警察署に到着後、何故か、当直はバタついており、あとから聞けば、照会センターの謎かけ一言に疑問を持った当直員が照会センターに問い合わせ等して、上記薬物指名手配犯捕捉の為、署員招集の為、各待機員に連絡をしていたもの。

まさか、そこまでとは知らぬ我ら二人、同行した家出人が家族に連絡を取りたいという為、警察署の玄関にある公衆電話で連絡させてしまった。

この電話が大物を完全に取り逃がすことになった。

と後日聞かされた。あのまま、電話させずに取調室に同行すればと悔やまれる。

なお、約1時間経過して招集された刑事課員等で潜伏している家に急行したがもぬけの殻であったという。

このように家出人手配には結構、掘り下げれば他の手配等に付随している者が多く、脇締めて仕事に当たることが大事です。という話。

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