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素直に

素直にあなたに逢いたいと言えたら
どれだけ楽なんだろう

素直にあなたの声が聞きたいと言えたら
どれだけ楽なんだろう

素直にあなたにかまって欲しいって言えたら
どれだけ楽なんだろう

素直にあなたに好きって言えたら
どれだけ楽なんだろう

素直に自分の思っている気持ちを言えたら
どれだけ楽なんだろう


いつからあなたの笑顔は私には向かなくなってしまったんだろう。


好きなときに好きな人に会えるのが当たり前だと思ってた。

だって、生まれたときからずっと一緒だったから。

隣にその笑顔あるのが当たり前だったから。


咲月「アハハ! 〇〇そればっかり!」

〇〇「ハハ、いいだろ別にー」


眼の前で仲良くなる向かい合って笑い合う私の好きな人と、私の一番の親友。

私が辛いと思っているときも

私が泣きじゃくってるときも

私が変わりたいと思っているときも

私が頑張ろうとしているときも


いつも二人が助けてくれた。


いつも一緒にいた。

だからいつからか気付いちゃったんだ。
二人が惹かれ合ってることに。

私と違って素直で明るいさっちゃん。
私と違って素直で優しい〇〇。


素直な二人が惹かれ合うのは当然だと思った。


私には勇気がなかったんだ。

幼馴染の〇〇に、好きだよ、と伝える勇気が。

私には勇気がなかった。

親友のさっちゃんに自分の気持ちを伝えてライバルになる勇気が。


ふと〇〇と目が合う。


〇〇「和、元気ないけど大丈夫か?」


どんなときも気づいてくれるんだね。

そんな〇〇に嬉しく思っちゃう自分がいる。


咲月「ほんとだよ和、さっきからずっと悩んでるみたい」


流石親友だよ。悩んでるってバレちゃうんだもん。

そんなにわかりやすいのかな。


でも、やっぱり素直に離れない。

静かに心に蓋をする。


和「ごめんごめん。ちょっと考え事」


誤魔化しきれてたのかはわからない。

きっと二人は優しいからそれ以上なにも突っ込まないでふたたび笑顔で話始めた。



二人にバレないように視線を教室の窓の外に向ける。


素直になりたい思いとは裏腹に、

私は屈折した想いを胸にただ空を見つめた。







おわり

この物語はフィクションです。
実在する人物などとは一切関係ございません

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