少年とたぬき姫 【#創作大賞2024】
夢で少年と出会った。
ここの赤い空は暗く、、ずっとなりぱなしの雷は月の代わりになって周りを光らせてる…昼も夜もないようだ。
そこでわたしはすでに決まってる道をなぞるように歩いていた…何故か、わたしは綺麗なシルクドレスを着てティアラみたいなカチューシャで垂れ下がる長い髪を止めている…薄い水色のドレスは足首からは裾が浮いて歩く度にふわっと上下が揺れる。
`手が空いて楽な世界だな…
だけど裸足は辛い、、'
生き物ところかみずみずしいものは一切見えない、動くのは枯れてる木の枝…。枝をじっと見つめて砂風に揺れ出したら真っ先に間をつぶって足を止めた…風が去るのを待つ。わたしは小石で傷んでいく裸足で歩いたり止まったりしながら歩き続けた。
このイタズラに飽きたわたしは次の風が来る前には向こうにみえる大きい何かに向かって走ってやろうと…
足が痛くても止まったら2度は走ることは無いと分かってるわたしは見事に走り切った。
辿り着いた場所には大きい石の壁が建ってあり、壁の前には木の椅子と丸くて小さいテーブルが置いてあった。そして片方の椅子には小汚い少年が座ってこっちをみている。
わたしはゆっくり歩き空いてる椅子まで近づいてテーブルに手を置き椅子を出し足を休ませようとした、、でもどうしても座れない。
お尻に何かが当たり邪魔で仕方が無かった、
「何よ!?」
少年は豪快に笑い出した、でも開いた口の割に笑い声はびっくりするほど出ない…。
「俺を騙すな!
俺は馬鹿じゃないからな!」と笑いを止めて怒鳴ってきた。
`えっ?'
わたしはやっと自分の後ろ姿をみて気づいた、わたしのお尻には大きな尻尾が付いてあった。
少年はいつの間にかわたしの横に来て尻尾を軽く撫でて、
「これはタヌキの尻尾だー
お前は綺麗なドレスを着ているが姫様なんかじゃない!何者だ?」
`負けるな'
わたしは気を取り直し、まだ背が低い少年を見下ろしていってあげた、
「少年よ、君に損はさせないから座り直しなさい。」
そして少年がニヤけながら自分の席に戻るのをみてからややボリューミな尻尾をなんとかくるまって椅子に座ることができなのだ…。
少年は疑い深い目でこっちをみている、、わたしも返すように少年を見つめた。沈黙の睨み合いから疲れたのかわたしは意識が朦朧になり少年の顔でか秘めた記憶を思い出して夢から目が覚めた。
`はっ!'
ベッドから立ち上がり鏡の前に立った、お尻には尻尾が無くて…でもドレスとティアラも無くなっている。
わたしが秘めた記憶は、
11月誕生日に近づくと思い出す…。
初出会いは雨が降ってきた夜の三茶での約束だった、
「カレンはお父さんに似てて綺麗なの?」
苦笑いしながら私は
「どっちかのお父さんには似てるかもね。」
「どっちかの?」
「うん、お父さんが2人…つまりいないのと変わり無い。」居酒屋で乾杯をしてから5分も経たない2人だった。
「また共通点、一緒だね…俺もお父さんがいないから、生まれる前に失踪したらしい。」そういって彼は親指で私の下唇を軽く押した。
再び、夢で少年と出会った。
続きなのか、少年とわたしは椅子に座っていた。
わたしは慎重に言うつもりでこういった、
「 少年よ、私は…呪いにかかった! 」
それを聞いて少年は笑い、わたしの口調を真似して
「 狸姫よ、呪いじゃない。
呪文だ!お前はマヌケな呪文を自分にかけたんだ。ほらみてよ、その証拠で尻尾が残ってるじゃないか!」少年はまた笑った、
豪快なのに笑い声は聞こえなかった…。
わたしはわたしは目玉が赤くなり、眉間にしわが寄り、腹から大きな声を出して、喉も鳴らしながら大袈裟に泣き出した、
「わーん〜わーん〜わーん~わーん~」
わたしの目はどんどん赤くなり眉間にはどんどんしわが寄り果てには姫の顔が崩れ落ち出した。
わたしはもっと大きな声で泣いた、なのに泣きながらも半分開けた目で少年の顔をみた…
少年は席を外さず、両手で耳を塞いで泣いてるわたしをみていた…凄く凄く楽しそうな目で泣いているわたしを観てる…
……。
濡れたほっぺが気持ち悪くて夢から目を覚めた、
`次に少年を会ったらそれが最後になる!'
私は、出来るだけ寝るのを我慢して呪いの場所を尋ねることにした。
1、2、3、4、5、6、7…7人目の人。
なんとなく今年から会ってみた男の中で彼は7人目、、もう一月になったから1人目にしたい所だがどうなんだろう…。
渋谷の成城石井で茹でたエビが円を描いて並んでるお惣菜を買い、すぐ近くのお酒売り場に彼と足を運んでお互い飲みたいものを選ぶことにしてた、綺麗な絵柄のインポートビールが棚をいっぱいにしてて結局なにを買ってたのか今は思い出せないが2回目の出会いだったことと私が何を着て何を履いたのかはしっかり覚えている。
ホテルの風呂にお湯を溜めてもらった…
裸の彼をバスタブに入ってもらい、彼が持って来た黒いレースの目隠しをしてあげた。下着を着たままの私の膝辺りに温かい水が来てる…念入りでお手入れをした足を彼の口元に差し出した…短く切った足の指先を彼が咥える。口内の柔らかい粘膜はとても熱く、、 私は彼をじっくり見下ろしながらゆっくり足を下ろした。
`目をみたい'
カラーで傷んで濡れてる癖毛の長い前髪から捨て犬のような黒目が光る、この場に応じて私をみてくれる、、
しゃがんだ私に彼は顔を近づいてと前回とは違ってキスの許可をもらおうとした。
…ある日、彼を待つ事がつらくなり
「他の男としていいの?」といってみた、彼は…
「大丈夫よ!カレンはきっと離れられないから」
と…。
私は、「それは呪い?」
彼は「呪いじゃない呪文」っていい…
私は不思議と満足した。
東京の世田谷区から乗ったタクシーが止まり…曇ってた窓からはやっと目的地がみえる、
ここは… 鎌倉市七里ガ浜、私はリュックを背負ってタクシーから降りた。
私は離れられない、
だからこんなに寒い冬の朝海辺で波風と睨めっこしている、
出会ってから…次の年の10月になる前に彼は呪いを解く呪文を言えずに突然姿を消した。
`探す、、絶対に探す!'
私の小指には未だに彼とお揃いの指輪…。
「お揃いしよう?バレないようなものならいいじゃん、仕事の時とか思い出して元気もらえそう!」
彼は私が結婚指輪を持ってること、持ってるけどしてないことも分からず… 軽くいってくれた。 男にお揃いをしようと言われたのは初めてなのに…… こんな形の関係の相手に聞くとは思いも知らず、、 いきなりの攻撃で私は簡単に軽く、軽く、浮いていった。
その後私たちは鎌倉までドライブをして、指輪買いここの海辺で指輪をはめた手を重ねた。
後で彼からもらった写真に写ってる2人の手の形がそっくり過ぎて私はしばらく写真を見つめていた。
私には思ったより手がかりがない、彼の周りの人も知らない、本当の名前も…多分知らない。
彼が私と親密だったこの一年弱は丸ごと2人だけのもので幕を閉じようとしてる。
彼から最後の連絡が来たのは今年の11月
[おめでとう!誕生日]
そのメッセージは珍しく私の読み通りだった。
俺には会ってお金もらう相手がいる。
また肌寒い4月の夜、飲み帰りの彼女と会うことになった。
夜散歩がしたいとかいうから駒澤大学駅前でと待ち合わせを…、駒沢公園でも…本当に散歩する気か?と思いながらスタジオを出て自転車を乗り向かうとカカオの音が…
彼女はいつもちょっと遅いから無視して変わる信号に合わせペダルを強く踏んだ。
俺を発見して、駅前のコンビニから出てくる彼女とは大体月1〜2の付き合い…。
遅くまで何も食べなかった俺は腹が減ったことを伝えて私たちは近くの居酒屋に入った。
ノリがいい彼女との時間は普通に楽しいし、なにより彼女は会うたびに何かをあげたり伝えたりしてなんか真っ直ぐで必死なんだ。
今回は空港で買ったお土産だよといいながら蟹味噌の瓶詰めを黒い皮のバッグから取り出した、、
空腹に入った一杯でもう顔が赤くなってきた俺は…
「会いたかった!」と素直にいってみた。
彼女は少し嬉しそうな笑顔と驚いた目になって、
「会いたいと思うときあるの?」って返した…。
夜中2時が過ぎ店を出た。
彼と私は環八通りをバンバン走ってる車の群れから空いてるタクシーを見つける為立ち止まったていた。いつの間にか後ろで私をハーグしている年下のイケメンに私は今日言おうとしたセリフをいってみた、
「わたし子供がほしい」…
「産めるの?」
「産めるよ!(失礼な)」
「あー、そこはまかすよ…
結婚出来ないからね。」
「結婚要らない、私が育てる。」
「…カレンはね、、側に居てくれる人がいい…」
私が側に居てくれる男と結婚している事を彼にいう機会はないだろう、
「 ねぇ~ならもう今から人を探して産まないと遅いよ。結婚したら会えないよ!」
「そうかな? そこはカレンのお母さんを見習って、笑 」 彼がタクシーを捕まった…私たちは小走りで車道に降りた、
「あなたの浮気のラインは何処からなの?教えて!」彼は即答で、
「結婚したら浮気。」私は
`こいつは…'と思いながらタクシーに乗った、
私たちは今日相乗り。
うちに来れないことを残念に思ったのか?彼は降り際に
「俺は彼女作って結婚して子供作るから〜」とタクシーの窓からみえるわたしに向けて満面の笑みで両手の中指を立てた。
海を前にして寒気がした私は背負っていたリュックからお揃いの品物や買ってくれた物などを出した…、、
`馬鹿な真似だ!'
こんな真似で簡単に終わらない… 終わるはずが無い、
負け犬の私は電車に乗って海から戻ってきた。
日中は、とても…いい。忙しくて…でもやる事が無くなると一人ぼっちが耐えれない、
そんな日も必ず夜がやって来る。
そして私は…
…その晩、最後に夢で少年と出会った。
雷が続く、赤く染まった空の下で相変わらず泣いている狸姫がみえた。
「やめろ! うわっ、ひどい顔に…ぷっ、ぷーはははーみてみろ!」
そういった少年は丸いテーブルを持ち上げた
持ち上げたテーブルは大きい鏡になり、鏡に映っている顔はボサボサの毛だらけで目と口周りは黒くて丸っこい黒い鼻をした立派なタヌキが写っていた…シルクのドレスを着ているタヌキ。
狸姫は我慢出来ず少年から鏡を奪って思いっきり投げた、一瞬の出来事に驚いた少年の顔から笑顔が消えた…泣き過ぎた姫は喉や鼻の詰まりより胸が痛いことに気づき、深い深い深ーい深呼吸をしながら…
「もう、何が起こっても泣かない。」といい
けろっとした。少年は凍りついた顔で地面に落ちてある割れた鏡のかけらを見つめているけど自分しかみえない狸姫は胸を手で押さえ、
「変だよ、大変よ!胸の痛みが治らない凄く痛い。」と少年に述べた。
少年は狸姫を推し、「どけ!!大変はあっちなんだよ!空に響いたら大変なんだ…」と叫びながら割れたかけらに向かった。そのとき、雷がなり出し割れた鏡のかけらに当たり光が赤い空に跳ね返すように反射し赤い空から雷が消えた……静かな暗闇が広がった。周りが暗くなるだけで全ての景色が荒んでるように変わってみえる。暗闇でお互いの目だけがひかりあった…少年は聞いた「胸の痛みは?」 狸姫は「まだ痛い、、」といったら、
今度は地面が激しく揺れ出した…不思議なのは周りがとても静かであること。テーブルが倒れても音がしなかった、椅子が倒れても静かだ、大きな壁がくずれ落ちていても全ての音が暗闇に消え去るように静かなんだ!
また地面が大きく揺れて、横にいた少年が倒れた。ビー玉みたいに転んですぐに姿を消した。でも何故か狸姫は地面に足がくっついてる人みたいにちっとも揺れない!…姫は平気で揺れが止まるまで胸を押さえながら待ち続けた……
しばらく時間が経ち、
揺れが止まった。暗さにも関わらず周りがはっきりみえる狸姫は最初の一歩ゆっくり動かして歩き出した、
「少年ーどこにいるんだ?
少年! 聞こえるなら返事して!」
歩くのがもどかしくなった狸姫は四つん這いで走り出し、枯れてる森に入り叫んだ
「少年! どこにいるの?
胸が痛いんだよ!何故か教える人はあんたしか無いんだから!」
四つん這いの姫が走り続けるとドレスは地面に擦れて捌けてすべて取れてしまった…
「少年よ!答えて頂戴!少年よ!どこにいるの、、」
狸姫は赤い空の下で走り回り…
私は夢から目を覚めた。
わたしは気づいた…
呪いとか呪文とかすべてを作り出したのは自分であることを…。 好んでやっていることを…。
決して終わらない…夢物語っていうことを、、
だが終わらない物語なんてただ繰り返すだけ、それでは面白くも無い…
`それでもいいの?
そんなんでいいの?'
終点が無い話は虚しいだけ…
やっぱり明日の朝、タクシーに乗って海を見に行こう…もう夏だ。
私は完全に目が覚めてしまった。
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