見出し画像

梨泰院惨事1年「大統領は官製行事ではなく、159名の霊前で涙し謝罪せよ」

オーマイニュース 2023年10月29日付記事
原文:https://www.ohmynews.com/NWS_Web/View/at_pg.aspx?CNTN_CD=A0002973176&CMPT_CD=M0145

10/29午後に行われた遺族、市民たちの行進

「私たちは政治集会ではなく、追悼大会に行っています。大統領におかれましても、159名の霊前で心から涙し謝罪する姿を見せてください」
梨泰院惨事遺族協議会ユ・ヒョンウ副委員長(故ユ・ヨンジュ氏の父)

10.29梨泰院惨事一周忌、遺族は狭い路地で献花を終えた後、龍山大統領室に向かって歩き出した。手には「惨事を真相究明せよ」「再発防止策を講じよ」などの文言が並んだ。遺族たちは紫色のジャンパーと襟に紫色の星、リボンで合わせた。梨泰院の路地を見てしばらく泣いていた母親たちは、赤くなった目元を手で押し拭いながら歩き出した。

路地の外で見守っていた市民たちは遺族に向かって拍手をし「頑張ってください」と叫んだ。警察が行進する遺族と市民を取り囲んだ。歩道にいた市民は車道の長い行列に驚いたが、すぐに梨泰院惨事遺族であることを知り痛ましい顔をした。

遺族たちは20分ほど歩き、大統領室前で止まった。ユ・ヒョンウ副委員長は演台に上がり、「今日のこの場は政治集会ではなく追悼大会です」「今日だけは犠牲者を追悼し哀悼するための日にしたい。追悼メッセージを出した大統領も同じ気持ちであるはずだ」と述べた。「政治集会になる恐れがある」という理由で一周忌追悼大会への不参加を決めた尹錫悦大統領に対する遺族たちの答えだった。

ユ副委員長は続けて、「惨事直後に遺影と位牌のなかった焼香所を大統領が五日間にわたって弔問したことが、犠牲者を哀悼するための本気の行動であったと信じられるようにしてほしい」「遺族がいない所で哀悼するのではなく、私たちが準備した追悼大会に来てください。席を空けたまま大統領を待ちます」と繰り返し大統領の公開謝罪を訴えた。

追悼メッセージで埋め尽くされた梨泰院駅1番出口

29日午後1時頃、梨泰院の路地では韓国四大宗教(プロテスタント、カトリック、円仏教、仏教)が159名の犠牲者のための祈祷を行う前から、追悼する市民で溢れていた。異なる包装紙で包まれた菊が追慕の壁の前に積み重なっていた。市民は追悼を示す色の服を着て路地を訪れた。

違法建築で路地を狭くし、惨事の原因となったハミルトンホテルの外壁には「10.29ハロウィン惨事犠牲者と遺族に深い哀悼を表します」という文言が書かれていた。延世大学に通っていたノルウェー人留学生の遺族は、犠牲者の顔が印刷されたTシャツを着て路地を見守った。ある母親はどうしても路地には入れず、「あそこで立ち往生して死んでいくのを見ていただけだったのか」と慟哭した。

故ソン・チェリム氏の父、ソン・ジニョンさんは取材に対して、「惨事特別法が通過しても私たちの子どもは何も受け取ることが出来ない。生きて帰ってこない」「道行く子どもたちが安全であれば…」と言って唇を噛んだ。

故イム・ジョンウォンさんの父、イム・イッチョルさんは「一年が過ぎたのに何も変わっていない。誰も責任を取らない」「私たちを忘れず惨事に共感し、弔問に来られた市民の方々に感謝申し上げたい」と述べた。

しかし、追悼大会に事実上「不参加」を表明した尹大統領に対しては、「大統領は一貫して梨泰院惨事を“政治フレーム”に追いやってきた。官製の追悼大会ではなく今日私たちが用意した席に来て、率直に遺族を慰めてほしい」と訴えた。

この日、行進する遺族たちの先頭で「国家は不在だった。政府は責任を認めろ」と書かれた幕を持っていたチェ・ユビン氏は「責任者たちはみな真相究明されたと話すが、遺族の立場では何一つとして明らかにされたものがない」「今日の連帯が遺族たちの力になれればと思い参加した」と話した。

「国家は不在だった。政府は責任を認めろ」

韓国四大宗教の宗教人たちは午後2時から梨泰院で祈祷会「追悼、記憶、そして真実のための誓い」を執り行い、遺族約100名を含む500人余りが参加した。

大韓曹渓宗社会労働委員会所属のソヌ師は「これ以上この地でセウォル号、梨泰院、五松地下車道惨事のような社会惨事が起きてはならない」「大統領は犠牲者たちに心から謝罪すべきだ。すべての国民がそれを望んでいる」と声を高めた。また、「与野党政治家たちは必ず今年の定期国会で特別法を通過させよ」と促した。

四大宗教による祈祷会

遺族、宗教人、市民は祈りが終わった後、「梨泰院特別法を制定せよ!尹錫悦大統領大統領は謝罪し、イ・サンミン長官は辞任せよ!」と叫んだ。

その後、遺族たちは梨泰院駅1番出口から龍山大統領室前、三角地域などを経て焼香所が設けられた市庁駅5番出口まで行進した。

先頭車両には「真実」と書かれた遺影


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?