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音楽

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音楽に関するさまざまな記事をまとめています。
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#音大生

音楽の仕事をしながら大学院に通う“音大生ワーカー”の1週間って?

みなさんは、「音大生の1週間」と聞いて、どのような1週間をイメージしますか? ・とにかく練習や課題に追われる日々 ・プライベートも音楽にどっぷり浸かった生活 大半の方が、このようなイメージを持つのではないでしょうか。 私自身も音楽大学に入学する前まで、このようなイメージをもっていましたし、入学後も音大生ではない周りの友達から「音大生ってどんな感じ?」「やっぱり大変なの?」とよく聞かれました。 今回は、「音楽の仕事をしながら音大大学院に通う私の1週間」を包み隠さず公開しま

嫌われ者のマーラー

皆さん、7月7日は何の日か、ご存じですか? 「ああ、たなばt…」そう!作曲家、グスタフ・マーラーの誕生日です。 皆さんは、マーラーにどのような印象をお持ちでしょうか?長そう、難しそう、暑苦しそう、そもそも名前すら聞いたことがない…。恐らく、そんなところでしょう。「嫌いな作曲家ランキング」みたいな企画では、ブルックナーとワースト1を争う常連です。 まず、マーラーは、オーケストラのコンサートでは非常に人気で、取り上げられる率も非常に高いのですが、なぜか音楽の教科書等には載らず、

妖怪と音楽シリーズ3 “妖怪の音”の探求

「妖怪と音楽」というテーマでこれまで2つの記事を上げてきました。このテーマで記事を書こうとすると、取り上げないわけにはいかない人物がいます。“妖怪の音”を探求して日々活動しているパーカッショニストの渡辺亮さんです。演奏活動はもちろん、楽器制作、美術活動、教育活動など、その活躍は多岐にわたります。妖怪文化の中心的な知識人の集う大イベント、『怪フォーラム』においてもパフォーマンスを披露しており、妖怪ファンの中でも知られている異色の存在です。今回は渡辺さんの活動を紹介し、このシリー

ヴォーン・ウィリアムズのススメ

2022年は、イギリスの作曲家、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズ(以下、RVWと表記)の生誕150年のアニバーサリー・イヤーです。アニバーサリー・イヤーということで、RVWが盛り上がっているかどうかと言われると、特にそんなこともなく、コンサートで取り上げられる機会が普段よりほんの少し増えた程度です。日本ではさほど取り上げられないこの作曲家ですが、本国イギリスをはじめ西洋では、作品の量、質ともにイギリスの作曲家の中で最も評価されているうちの一人です。今日は、そんなRVWの魅力をご

ベートーヴェンだけじゃない!?さまざまな“第九”

今年も残すところわずか。この時期になると、日本各地でよく演奏されるのがベートーヴェン作曲、“第九”こと《交響曲第9番ニ短調作品125「合唱付き」》です。“第九”は、俳句における季語になるほど日本では年末に演奏されるのが一般的となっていますが、世界では一部のオーケストラを除き、こうした習慣はありません。とはいっても、ホールのこけら落としや歴史的な行事・出来事の度に演奏されるというモニュメンタルな側面は、世界共通でしょう。 この“第九”は知っての通り、楽聖ベートーヴェンが残した

メタルとクラシック

1970年代から80年代にかけて興隆した “ヘヴィ・メタル(通称:メタル)”は、形を変えて、現在に至るまで幅広く人気です。ロックの中でも最も凶暴で激しく重いサウンドを響かせるイメージのあるこのジャンルですが、実はクラシック音楽の影響を色濃く受けています。 ということで、今回はメタルとクラシック音楽の接点をほんの一部紹介します。 イングヴェイ・マルムスティーン × パガニーニ ヘヴィ・メタルのルーツをたどると、ハードロックに行き着きます。レッド・ツェッペリンやディープ・パープ

妖怪と音楽シリーズ2 奄美・沖縄の音楽と怪異

先日、奄美・沖縄が、世界自然遺産に登録されましたね。独自の生態系を持ち、希少種や固有種も多いこれらの地域は、文化においても独自のものが今も受け継がれています。 ということで、今回は、奄美・沖縄にスポットを当てて、音楽に関する怪異をご紹介します。 奄美大島、ホノホシ海岸 「歌」が生活に根付いた奄美群島の文化 奄美群島では、シマ唄をはじめとした音楽文化が根付いており、本土以上に「歌」が重要な意味を持っています。昔から歌かけ遊びが盛んであり、男女の仲もこうした歌かけ遊びの中で発

妖怪と音楽シリーズ1 妖怪と音楽の誕生 ―恐怖克服の人類史

上の一文は、三島由紀夫がエッセイ集『小説家の休暇』の中で、語った言葉です。三島は音楽を怖いものだと考えていました。同エッセイ集の別の項で三島は、放射能への恐怖も書いていますが、それとほとんど変わらないトーンで、音楽への恐怖も語っているのです。 我々は、現代音楽やホラー映画のBGMなど一部の音楽に対して怖いと感じることはあっても、音楽そのものは恐怖の対象にはなりません。しかし、実は音楽の発展に、“恐怖”は大きな関わりがあると筆者は考えています。 今回は、この“音楽”と“恐怖”と