大分大学第3次試験の様子

 2023年に学部4年次で大分大学医学部医学科編入の最終合格をいただきました「せんよう」と申します。今回は私が受験した2023年の大分大学医学科編入学試験の第3次試験の様子について詳細にご紹介します。こちらの記事についても多少の個人情報を含みますので、有料とさせていただきます。

また、面接については以下の記事に載せた課題小論文の内容も確認していただくと、より面接の雰囲気を掴めると思います。

また、私の受験時のスペックについては以下の記事に書いているので参考にしてください。



第3次試験の概要

 大分大学医学科編入では、筆記試験である第2次試験では30人にまで絞られます。募集人員は10名のため、第3次試験の倍率は約3倍です。しかし、実際には鹿児島大学や東京医科歯科大学、岡山大学などの合格者による辞退があるため、実際の倍率は低くなります。私の年では7人もの辞退者が出ていました。内容は与えられたテーマに対する個人発表準備(50分)+個人発表(10分)+5人でのグループディスカッション(GD)(40分)、個人面接(15分)です。受験者は午前と午後に分けられますが、テーマは異なります。2023年の午前のテーマは「新型コロナウイルス5類移行への備え(個人または社会全体で何ができるか)」、午後のテーマは「働き方改革における面接指導実施医について(どんな人がよいか、どんな場所で行なうべきか、いつやるべきか)」でした。

第3次試験の流れ

 まず注意しておきたいことは、某大手予備校の資料では「午前中はGD→個人面接、午後は個人面接→GD」と書かれていますが大間違いです。午前・午後に関係なく、「GD→個人面接」の順で行なわれます。午前と午後の振り分けは受験番号でした。90番前後で午前と午後が分かれているようです。ちなみに私は午後組でした。


試験開始前

 会場につくと受験番号順に席が用意されています。集合時間までは出そうなテーマに対する意見をまとめた資料を見直していました。試験が開始されると面接終了までタブレットの使用はできなくなるので、特に面接対策の資料は紙媒体にしておきましょう。試験開始前には、まず試験の流れとスケジュールについて記載された用紙が配られます。次に、テーマの書かれた用紙、個人発表・GD用の紙5枚 (発表用3枚、メモ用紙2枚)、バインダー、消しゴム付き鉛筆が2本、マーカー (赤・黒・青 各1本ずつ)が配られます。消しゴム単体は配られませんでした。名札も配られ、左胸に付けるように言われます。


個人発表用資料作成(50分)

 試験開始の合図後、50分間でプレゼン用の資料を手書きで作製します。時間に余裕はなく、時間いっぱいに書き続けて最後の5分で見直しや流れを確認していました。完璧な原稿をつくるのは不可能なので、私はスライド作製前に使うアイデア出しの紙を原稿メモとして兼用し、原稿を作る時間を節約していました。作製時間終了後すぐにグループごとに呼ばれ、紙とバインダーのみをもって別教室へ移動します。発表練習時間はありません。グループ分けは基本的に受験番号順ですが、欠席者がいると想定よりも前のグループになる可能性があります。実際、私のグループは欠席者がいたことで1人が前のグループへ移動しため4人でした。移動では結構な距離を早歩きさせられるので、ヒールで歩くことになれていない女性の方は歩くのが少し辛いかも知れません。(経験者は語る)


個人発表(10分)、GD試験(40分)

 教室に着くと、案内の方から「列の一番目の人はノックをしてお入りください」「試験時間までもう少しお待ちください」と言われます。私はこの1分ほどの待ち時間に必死に自分の発表の流れを頭の中で確認していました。案内の方から「それでは時間になりましたのでお入りください」と言われ、順に教室へ入ります。


GDの教室を上から見た配置のイメージ
(翌年の受験では受験者は円形に並ぶ形に変更されたようです。)
(※スライド=スライドを映すスクリーンのことです。失礼しました。)

 会場は中学や高校の教室ぐらいの広さだったと思います。全員が教室に入り終わると、試験官から「番号順に着席してください」と指示されます。ドアに近い方から番号順に受験番号の書いてある紙が貼られた机と椅子が用意されています。机の上には消しゴム付き鉛筆が置いてあります。全員が着席すると、指示があり番号順に個人発表を開始します。個人発表では、OHPを使用して教室前方のスクリーンに自分のプレゼン資料を写します。OHPは台に置いた資料を上から投影するものなので、発表の際に紙を重ねて投影すると下の紙が透けます。見せたいスライド以外は手持ちするか、隣に発表者用の台があればそこに置いておくことになります。持ち時間は10分です。私のグループは全員時間通りに終わりましたが、早すぎると「他に言いたいことはありますか?」と言われ、時間を過ぎると中断されるそうです。適切な時間は8分以上と言われています。全員の発表が終わると、指示の後にGDが開始されます。注意すべきこととして、隣同士の受験者の距離は約2m、試験監督と一番近い受験者の距離も3mほどあります。感染対策も含めての距離だったのかもしれません。したがって、声は大きめで話さないと他の受験者や試験監督に聞こえません。終了時間が来るか、まとめの時間が終わると試験監督から終了が告げられます。その後、教室を出ると持ち物を全て回収され、最初の教室に再び移動します。


面接試験(15分)

 最初の教室で面接の開始を待つのですが、受験番号によってはかなり待たされます。このとき紙の資料であれば机の上に出すことができるので、時間まで面接対策の資料を確認していました。時間が近づくと案内の方から呼び出しがあり、全ての荷物を持って教室を移動します。到着すると、手荷物は教室に入る前に側に置いてある机に置くように指示されます。それぞれ面接の教室の前に立たされ時間が来ると(このときの待ち時間はほぼなかった)、案内の方から「それではノックをしてお入りください」と言われ、面接の教室に入ります。


面接教室を上から見た配置のイメージ

  面接の教室はとても狭く、受験者と面接官の距離は3mほどだったと思います。面接官は3人おり、私の面接の場合は中央の面接官が司会のような役割で多く質問し、端2人の面接官からはそれぞれ2つぐらいしか質問されませんでした。自己紹介は以下の記事に載せていますが、追加情報として私は医師だらけの研究室(医局の研究室)に所属して卒業研究を行なっていました。

以下に私がされた質問を載せます。

1. 課題小論文の字が綺麗ですね、習字や書道をやってましたか?
やっていませんでした。

2.もともと字が綺麗だったってことですか?
もともと汚かったのですが、インターネットや書籍を利用してバランスなどを学ぶことで綺麗にしました。

3.地元は(現在の大学の所在地)ですか?
いえ、○○です。

4.地元と大分を比べてどうですか?
大分は地元と近く、温泉旅行で家族と何度も訪れたことがあるので慣れ親しんだ土地でもあります。

 (ここまではおそらく採点されていません)

5.なぜ大分大学に進学したいと考えていますか?
私は大分大学のpre-ORphDおよびORphDシステムに関心を持っています。通常は医学博士の学位取得までに最短でも卒後9年の時間を要しますが、このコースだと最短卒後4年で学位を取得できます。研究と臨床業務を両立し、なるべく早く医学博士の学位を取得したいと考える私にとって、大分大学は最適の環境であると考えています。

6.現在の学科で良かったところ、足らなかったところはありますか?
生命科学・基礎医学を学べたことと動物実験の経験ができたことは良かったところだと考えています。一方で、課題小論文にも記載しましたが、私は循環器の研究がしたいと考えていたので循環器についての臨床的な知識を学ぶには少し物足りないと感じています。
(課題小論文を再度見直される仕草)

7.課題小論文から研究に意欲的なのが読み取れますが、進学後に入りたい研究室は決まっていますか?
大分大学病院循環器内科の高橋尚彦教授の研究に興味があります。高橋教授はラットやマウスを使った動物実験で,心房細動の病態を惹起する心房の炎症性線維化のメカニズムを解明する研究をされているということで、特にその研究に興味を持っています。

8.現在はどんな研究をしていますか?話せる範囲でかまいません。
現在は○○(所属の研究室名)で○○に関する研究を行なっています。(研究のターゲット分子の説明)。(手法の説明)を用いて、主にノックアウトマウスとワイルドタイプマウスの比較をして実験をしています。

9.論文提出や学会発表をしたことはありますか?
この研究を始めてまだ3ヶ月ほどなので、学会や論文提出の経験はありません。ですが、機会をいただけることが今後あれば、ぜひ参加したいと考えています。

10.研究室に医師はいますか?
はい、身近に医師がいる環境で研究をしています。

11.英語の学習についてはどのように乗り越えてきましたか?
英語の学習の基準としてはTOEFLを考えていました。最初に受けたTOEFLでは60点と酷い点数でしたが、TOEFLの学習をしたり英会話教室に通ったり英語の医学セミナーを受けたりすることで、最終的には78点まで到達できました。

12.それで今後も英語の学習を続けていくということですね?(おそらく課題小論文に書いていたため聞かれた)
はい、そうです。

13.将来の働き方は考えていますか?
将来は大分大学病院で循環器の医師として臨床業務と研究を両立していきたいと考えています。

14.大学病院で働きたいということですが、地方の病院には行きたくないですか?抵抗あるとか?
抵抗はありません。あくまでも自分が希望しているキャリアプラン上、大学病院に勤務したいと考えているのであって、抵抗があるわけではありません。地方の病院は地域の方とより密接に関わる医療が提供できるというメリットがあると思います。

15.循環器の臨床と研究の両立のモチベーションについて大学に入ってからのきっかけはありますか?大学の授業とかですかね?
はい、主に2つのきっかけがあります。1つめはおっしゃるとおり大学で循環器研究の問題点について学んだ事です。実際に循環器内科として働く医師の授業でしたが、循環器研究の問題点として、不整脈に対する治療薬に催不整脈作用があることやシンケン(心生検を言い間違えた)では感染のおそれがあることなどを聞き、循環器の研究をしたいと考えるようになりました。2つめは卒業研究で現在の研究室において研究と臨床業務を両立する医師を見てきたことです。確かに両立が難しいことは実際の医師の姿を見て自覚していますが、上司と相談したり工夫をすることで不可能ではないと考えるようになりました。

14.周りに医師がいる環境で過ごしているということですが、研究と臨床の同じところ、違うところはそれぞれ何だと思いますか?
臨床でも研究でも患者さんを治したいという気持ちは同じだと思います。一方で、臨床では目の前の患者を治療しますが、研究は目の前というより将来の患者を救う可能性があるということが異なる点だと思います。
(自分としてはうまく答えられませんでした)

(微妙に時間が余ったらしく、中央の面接官が両端の面接官に何かありますか?と聞いていた。左の方が「ないです」とすぐ答えたので右の方がひねり出している様子)

15.動物実験でマウスも触ってると思うけど、もうマウスを触るのは大丈夫なんですか?(むりやり質問を出した感がありましたw)
はい、そうですね。(苦笑い)慣れました。

16.面接試験は以上になります。退室してください。
ありがとうございました。

 全く一緒ではありませんが、概ねこのような流れで面接が進みました。面接会場は狭いので圧迫感がありましたが、面接官は優しい方ばかりでした。上記には載せていませんが、中央の面接官は私の発言の後に発言内容を言い換えてまとめてくれたり、補足説明をしてその内容が私の考えと合致しているかを確認してくれたりすることが多い方でした。アタリの面接教室だったのかもしれません。質問に対する答えにはあまり深掘りされず、淡々と質問されたという印象でした。ちなみに他の受験者(看護師の方)は「アルメイダって知っていますか?」や「地方病院の働き方改革についてどう思いますか?」という自分の経験に関係のない質問もされたそうです。

 個人面接の後はそのまま解散です。


合格になった勝因は何か

ここから先は

2,136字

¥ 100