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【女湯男湯事件ボ12】男女 間違え珍事件 老若男女チームプレイの巻

東京都内のとある銭湯。
微笑ましい事件。

その浴場さんは、
2種の浴室を設けていて男女入れ替わり制だ。
一番風呂を待つ列がゆっくりと進む中、
慌てて2人のご婦人が脱衣場から出てきた。

「中に、男の人いるうっ!!」
「えええぇぇっ!?」
「男女の看板が間違ってるんだよう!」

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「あら!ごめんなさいっ!!」
慌てるフロントさん。

もしかしたらお風呂屋さんによっては
「まぁ、いっか。今日は逆にしちゃう。」
と笑って済ますかもしれない。
が、フロントさんは至って律儀だ。
「ごめん!声かけるわ。」
「もう体洗ってるよーー」

追うようにご婦人たちが言うが、
聞こえる間もなくフロントさんは消えた。

ほどなくして、頭に泡をつけた男性が
「すみません、すみません」
と申し訳なさそうにフロントを横切った。

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「いいのよ、かけ間違いみたいよっ!」
常連と思しきご婦人らがねぎらう。

私はとりあえず男女の案内を
差し替えとこうと思い、手を伸ばした。
が、悲しいかな、なかなか高くて届かぬ。
「背の高いお姉さん、ごめん手伝ってもらえる?」
後ろから常連さんが声をかけてくれ、
スラリとしたお姉さんが案内をかけかえた。
「はいはい〜」

ドタバタだが老若男女の連携プレイにより、
男は男湯に、女は女湯におさまった。
「びっくりしちゃったね」
脱衣場で先程のご婦人が笑った。
誰も怒りはしなかったし、お互いを労うばかりだった。あったかいなぁ。
んで、その日の浴室は
「びっくりしちゃったね」話で持ち切りだった。
謎の一体感に包まれた銭湯。

私が暖簾をくぐった時、
先ほど「すみません、すみません」と横切った男性が
サラサラの髪をなびかせて歩道を歩いてゆく背中がみえた。
いい湯だったかな笑、うんきっといい湯だったと思う。


やすこ。

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