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【女湯事件ボ23】風呂と酒は共通言語。酒蔵の手ぬぐい。

それ、どこの酒蔵?

銭湯の脱衣場にて。

私の籐カゴに被せた手ぬぐいを
ご婦人は指差していた。


これ?秋田のです。
あら、、私故郷が青森よ!
私も、北で、北海道です。
(東北と北海道は、
関東で会うとこんなチーム感があるものだ)

そこから手ぬぐいを広げ、
日本酒の話が始まった。
いや、どちらかと言うと旅の話。


そしてご婦人もソワソワと荷物を探り、
びっちりと旅行先をメモした手帳を出してくれた。
軽装のご婦人が、そこそこ厚い手帳を持参していることが私的には不思議だったが、
それがお守りのように大事な一冊とわかった。

若い頃はよく旅をした事。
でもなんやかんや、北が楽しかった事。
旅に酒蔵は付き物である事。


あ、すごく美味しかったお酒があるの、、
岩手なんだけど、、
うーん探せないわ。
手帳をめくりめくり、
とても悔しそうにしていた。

閉店時間も近くだったので、
またお会いしましょう!
大体閉店間近にいるわよ。

と会話を交わした。

しかし、私は結局そこに再訪するタイミングを逃し、、
数ヶ月後、その銭湯は廃業した。

到底廃業すると思えない様な
賑わいの銭湯だったので、そこへの思い、、
そして、ご婦人のおすすめを聞かなかったことが、ただただ悔やまれた。

以降、私は愛用タオルはあるものの、
やはり地方の手ぬぐいは欠かさない。
また、あの時のご婦人に出逢える気がして。


やすこ。

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