ヘンリー・ダーガーに

 こんばんは。昨日は映画を見終わった後焼肉に行ってきました。90分食べ放題。
 もう30代も半ばになると、食べ放題という言葉に何らワクワクを覚えなくなりますね。
 実際、あまりお肉も量を食べられなくなってきた気がします・・・。

ヘンリー・ダーガー

 皆さんはヘンリー・ダーガーという方をご存知でしょうか?私は先日読み終わったヨシタケシンスケ氏のタイダーン(対談集)でその名前を知りました。
 ヘンリー自身はアメリカで掃除の仕事などをする傍らで、誰に知られるでもなく執筆活動を続けていたのだそうです。そのテキスト数は1万5000ページを越え、挿絵も300枚以上描いていたのだとか。

 彼の作品は、氏の死後に部屋を管理していた大家のネイサン・ラーナーの眼に留まり、発表される事となった。

 非現実の王国で

 彼は誰に発表するでもない作品を、創り続ける人だった。それも生涯を通して18歳から81歳で没するその時まで。

創作の原点

 私はそうして生きる人の存在を知った時、とても心を揺さぶられた。

 基本的に私は未完の作品というものを好まない。だから長期連載している漫画家も編集も、出版社も好きではない。
 どれだけ面白い作品を描けようとも、休載ばかりしている人を私は好まない。

 しかしダーガーは、物語にひとつの節目をつけている。読んだわけではないので聞きかじった情報でしかないが、氏の非現実の王国では、ひとまず完結している。(2つのエンディングが用意されており、どちらを採用したのかは氏にしか分からないそう)
 その世界観を補完するように、挿絵を描いたり続編を書いていたのだそうだ。
 しかも氏は、大家のネイサンに対し、自身の部屋にあるものは「全て処分してくれ」と頼んでいたという。
 つまり氏は作品を発表する気がなかったのだ。

 書きたいから書く。そんな創作の原初の世界に、氏はいたのかもしれない。

承認欲求を持たない人間などいるのか

 私含めSNSというもので発信を続けている人間は、大小様々な承認欲求を持っていると思う。少しでもイイネを貰いたいと思うし、閲覧数や再生数という数字は、やはり自身を認めてくれるひとつの材料だ。

 しかしダーガー氏はそうした事をしなかった。生まれた時代が違うから?それにしても、製本までしていた作品だったのだ。誰がしかに見せたいと思ったことはないのだろうか。

 ただただ書き連ねる事で欲求を満たしていたのだろうか。創作の世界こそが現実だったのでしょうか。

 誰も知るよしもありません。

 彼を孤高の人とするのは少し違う気もするのですが、彼のようになりたい。SNS全盛となった今だからこそ、そう思う人もまた、少なくないのではないかと思い、紹介させていただきました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?