「世界をもっと、なめらかに。」ますぶちみなこさん 余白が生み出した「書くこと」【受講生課題記事】
※こちらはco-ba school「ライティング基礎ワークショップ」の受講生が、課題として作成したインタビュー記事です。
「世界をもっと、なめらかに」をテーマに、フリーランスで活躍するイラストレーター・クリエイティブディレクターのますぶちみなこさん。イラストやグラフィックレコーディングなどをiPadを使って自由に発信する「iPad芸人」という言葉の生みの親でもあります。今も発信し続けるますぶちさんに「書くこと」をテーマにお話を伺いました。
参考記事
ーーますぶちさんはなぜ「書く」のですか?
私のキャッチコピーである「世界をもっと、なめらかに。」を実現するためです。
世界と自分自身の間にある「ガビガビしたもの」を取り除いてなめらかにしたい。そして、寂しかった過去の自分自身を癒やし、今、寂しさを感じている人たちにホッとしてもらって、明日に希望を持ってもらいたくて書いています。
2017年12月に作ったこのキャッチコピーには、書くことへの思いを含めた私の全てが込められています。
ーーキャッチコピーの設定は「書くこと」にどう影響していますか?
実は、本格的なライティングもiPad芸人も、このキャッチコピーにしてから始まりました。
「Doing(できること)」を自分で限定せず、「Being(あり方)」を起点としたキャッチコピーにして余白を生み出したことで、自分自身の可能性が広がったのです。
iPad芸人も「余白を生み出しなめらかにする」というキーワードでつながっています。もちろん、Apple Pencilの書き心地は抜群になめらかですが(笑)。
イラストレーターだけじゃなくて、さまざまな人がiPadを使って活躍できる余白を生み出したいという思いから、多様な捉え方が可能な「芸人」という言葉を盛り込みました。今、大きなムーブメントになりつつあるのを感じています。
ーー「書くこと」を通じて何を伝えたいですか?
現場にいないと分からない雰囲気や空気感をちゃんと伝えたいです。
そこで重要なのが、文章の「デザイン」です。
ライティングとデザインは、とてもよく似ています。ひらがなを使うか、それともカタカナか、イラストはどう配置するか…さまざまなことに思いを巡らせながら、現場に赴き、自分の目で見て、イメージを膨らませるんです。
私にとって文字を書くことはすなわちデザインであり、私の根底にある宗教やマインドのようなもの。
ライターではなく、デザイナーとして「デザインスキルを応用して文字を書いている」というマインドを大切にしながら、これからも書いていきたいですね。
ーーますぶちさんはなぜ「書きたくなる」のですか?
以前は、自分自身の寂しさを紛らわせたり、自分の気持ちや思いを目に見える形で表現することが書くことの動機でした。
でも今は、何かを知ったら伝えずにはいられないんです。
池に石を投げると、波紋ができるじゃないですか。その波紋の形は世間への影響なんです。
自分が新しく見知ったことを発信したらどういう形の波紋が生まれるのか、確かめたくて仕方がないんです。
書くことよりも面白かったり、表現するのに最適なものが出てきたり、好きなものが出てきたら、明日、書くことをやめてしまうかもしれません。
でもそれこそが私の生き方なんですね。
私にとって最高の褒め言葉は「何をやっているか分からない人」って言われることです(笑)。この人といたら面白いって感じてもらえたらと、いつも思っています。
(インタビュー・文/日影耕造)
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