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大人になって

冬の延長のような寒さに震えながら、そこかしこに広がる春の匂いに心が躍る季節。

少しセンチメンタルで、かさぶたのようにヒリヒリするこの季節が、昔からあまり得意ではないけれど、

青春の残り香のような、直視するにはまだ気恥ずかしく、思い出として浸るには早すぎる、奥底に眠っていた感情が、音楽によってふとよみがえってきた。


YUKIちゃんの「大人になって」

最近CMでカバーされていたことがきっかけで、久しぶりに聴いた。

まだ大人になり切れていなかったあの頃、でも、自分の中のあこがれを追い求めて、足らない自分と葛藤しながら、もがくように必死で生きてた、あの頃。大切に聴いていた曲。


大人になって、どこへ行くのかわからないまま、

わたしはいつの間にか"大人"になってしまった。


"社会人"という肩書がついて、人の目を気にしてその枠に合わせるように大人のふりをして生きているけれど、中身は、あの頃のままのような気もする。

常に足らない自分と葛藤して、もがいて、苦しんで。

でも、その足らなさを受け入れられるようになり、自分を愛することが出来て初めて、人を愛せるようになることを知った。

社会人としての6年間、体感的にはまるで小学校の6年間と違うけれど、大人として、ハリボテでも土台が構築できた6年間だったとも思う。


あの頃見えなかったものが、見えるようになったことに、ふと自分の成長を感じる瞬間もある。

反対に、あの頃見えていたことが見えなくなってしまったような、毎日がカラフルだった学生時代から、社会人になり急にモノクロになってしまったように、淡々と続く日常によって、何かに蓋がされていくのも感じる。


大人になってしまった悲しみを感じる間もなく、日々は流れていく。

変わらないものをどれだけ大切にしていけるか。


自分の感受性くらい、自分で守ればかものよ/茨木のり子


美しいと思える心を何より大事に。/そえそえ※
あなたが生き生きしている時あなたはクリエイティブだ/そえそえ※


お守り言葉たち、を携えて。


大人になって、どこへ行くのか、

それは、今もこの先もきっとわからないけれど、

いつだって心がワクワクする方に。


大人は自由だから。

自由で、孤独で、楽しいんだ。

自分のペースで、自分の歩幅で。

大丈夫、ちゃんと進んでいるよ。


※そえそえとは、大学時代のゼミの先生のことです。

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