マガジンのカバー画像

信州戦争資料センター 中の人の思うこと、やってきたこと

17
信州戦争資料センターは戦時体制下にあった日本の姿を、所蔵資料で公開し、見ていただいた方に後はおまかせするのが基本ですが、世の中の動きに黙っていられないときもあります。そんな、通常…
運営しているクリエイター

#長野県

信州戦争資料センターの生い立ち

 「信州戦争資料センター」と名乗ってはいますが、残念ながら展示施設はありませんし、事務所があるわけでもなく、ただ「戦争を回避し続ける」という一点で集まった長野県の有志数人がいるだけです。ただ、名称だけは分かりやすく、将来、何かの奇跡で「施設」「団体」ができる時に使えたらいいなと、2015年の初めての展示会に合わせて付けました。気の合った有志で「今年は何をしようか」と相談しながら手弁当の活動を続けています。  あれは、代表がたまたま戦時下を知る方と雑談しつつ、戦争体験を聞ける

調べて発信するということ

 代表が初めてネットで発信を始めたのは、生活や趣味を通じて感じたりやったりしたことの日常のブログでした。もう20年ほど前になります。そういうブログは、自分の思うこと、感じたことをそのまま書くだけですから、調べものをして書くというものではありませんでした。むしろ直感で、素直に書くのが楽しかったです。  しかし、信州戦争資料センターのブログを2015年に始める時には、そういうわけにはいきませんでした。「モノ」を紹介するといっても、その背景や歴史の流れの中における位置づけなどをし

5年越しの約束を果たせた「牧内兵長回想録」出版

 今夏の信州戦争資料センター展示会にお越し下さった方は、実物をご覧いただいたと思いますが「一兵士が戦場を描いた記憶 牧内兵長回想録」を、展示会に合わせて発刊しました。実は、この本を作ろうと思い立ったのは、回想録が見つかったという新聞記事を見て「誰かに本にしてほしい」から、すぐに「自分が本にすればいい」と思い直してから。2018年1月のことでした。ご遺族と連絡を取り始め、ご理解を得て、まずは保存のために写真を撮影するというところまでは何とか順調に行きました。  しかし、そこか