日本先進会の財政解説シリーズ②そもそも「財政破綻」とは何なのか?

こんにちは。今回は「日本先進会の財政解説シリーズ」の2回目ということで、「財政破綻」について説明します。

前回の記事で、「このままでは日本の財政が破綻する」という理解は正しくない、だから財政が原因で政治が停滞してしまうのはおかしいのだ、と書きました。

ではそもそも「財政破綻」とは何なのか?結論として、財政破綻はまず「狭義の財政破綻」と「広義の財政破綻」の二種類に分けられます。

「狭義の財政破綻」とは、政府が返済期限が来た国債を返済することができないということです。これは「国債のデフォルト」と呼ばれます。一方で、「広義の財政破綻」とは、財政が原因で社会経済が大混乱することであり、基本的に「過度なインフレ」・「過度な金利上昇」・「過度な円安」の三種類があります。なお、これは少しずつ説明していけばご理解いただけるものと思いますが、「国債のデフォルト」・「過度なインフレ」・「過度な金利上昇」・「過度な円安」はお互いに完全に独立しているわけではなく、相互に関連しているのが基本です。つまり、これら4つは基本的に同時に起きるものだということです。

そもそも政府が国債という形でお金を調達しているのは、そのお金を国民のために使いたい(これが財政支出ですね)からです。それを踏まえた上で、まず「国債のデフォルト」についてですが、政府が国債を返済することができない状況がなぜ問題かと言えば、それは政府が返済すべき国債を返済できなければ、それ以上、お金を調達することはできなくなってしまい、その分、国民のためにお金を使うことができなくなるからです。

さらに言えば、政府が国債を返済することができないと、国際社会における国全体の信用がなくなってしまうから、国内の会社などが外国からお金を借りることも難しくなってしまい、倒産なども増えてしまいます。とにかく国債がデフォルトすると、国民が大きな悪影響を受けるのです。

次に「過度なインフレ」・「過度な金利上昇」・「過度な円安」についてですが、これらは基本的には同時に起きるものであり、「国債のデフォルト」がキッカケになることもあります。

「過度なインフレ」とは、モノやサービスの価格が急激に上がるということです。また「過度な金利上昇」とは、お金を借りる時に支払わなければならないコストが急激に増えるということです。そして「過度な円安」とは、自国の通貨(たとえば日本であれば日本円)の価値が、他国の通貨(たとえばアメリカのドル)と比較して、急激に下がるということです。これら三つが起きると、家計が崩壊するケースや、会社の事業が立ち行かなくなるケースが発生する、つまり社会経済が大混乱してしまうということは想像に難くないと思います。

ただ繰り返しになりますが、結論として、「このままでは日本の財政は破綻する」という理解は間違っています。つまり今の日本は、「国債のデフォルト」・「過度なインフレ」・「過度な金利上昇」・「過度な円安」が起きる状況では全くないのです。そしてまた、これから様々な政策を実現するために、国債発行による財政支出を拡大するとしても、きちんとした施策を講じれば、これらが将来的に起きてしまうリスクも限りなくゼロに近づけることができるのです。

それがなぜなのかという理由については、「国債のデフォルト」・「過度なインフレ」・「過度な金利上昇」・「過度な円安」に分けて、今後の記事で一つずつ説明していきたいと思います。

(続く)

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