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家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった

『家族だから愛したんじゃなくて、愛したのが家族だった』

岸田奈美 (著)
発行:小学館

以前から、Twitterでよくお見かけした岸田奈美さん。
なんとなく気になっていたけど、ちょっと手に取るのを
躊躇していた1冊。帯には

ー車いすユーザーの母、知的障害を持つ弟、急逝した父
 情報過多な日々をつづる笑いと涙の自伝エッセイー

とあります。
実は障害をテーマに含まれるエッセイや読み物に
少しかまえてしまう私。
というのも、叔父が聾唖者であり
身内として障害について不特定多数の人に伝えることが
非常に難しいことを実感しているからです。
お涙を頂戴したいわけでも、大変自慢をしたいわけでも
ないのだけれど、文字が独り歩きすると
そういうことになりがちなのがもどかしいのです。

しかしながら、あるときこの本に収録されている
1篇がネット上で読めることを知り、
何気なく読んでみると
思っていた内容とは違いました。

「家族だから愛したんじゃなくて、
 愛したのが家族だった」

もう、このタイトルに尽きる。

美人で優しく関西人な車いすユーザーのおかん
しっかり者だけどちゃっかり者なダウン症の弟
そして岸田奈美さんの日常がありのままに
あふれる愛とともに綴られています。
やさしくて美人のと車いすユーザーが並列なのです。
しっかり者だけどちゃっかりなとダウン症が並列なのです。

それを、彼女が感じた想いを素直に
笑いと胸をふるわせる言葉で綴られているので、
私はダイレクトに胸に受け止めることができました。
そして、岸田さんのワードセンスがすごい!
同じことが起こっても、私が説明したら
こんなにも笑えて泣けるエピソードにならないよ!
という文章力に脱帽です。

この本に収録されているお話で
ネット上で読めるものがあるので
まずはこちらを一読いただきたい。

弟が万引きを疑われ、そして母は赤べこになった
https://note.kishidanami.com/n/n28c8d62e0eee

岸田さんが、家族を愛し、自分を愛し
文字にすることで読者に愛のおすそ分けをし
みんながハッピーになる本です。

そして、この本は、電車やまわりに人がいる場所でなく
ひとりきりの部屋で読むことをおススメします。
思わず吹き出してしまうから。

むかーしむかし、浅田次郎さんの勇気凛々シリーズを
愛読するオヤジな女子大生だった私。
笑って泣ける心地よさを思い出した1冊でした。

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