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傘のさし方がわからない

『傘のさし方がわからない』

岸田奈美(著),
発行:小学館

先月のカートで紹介させていただいた
「家族だから愛したんじゃなくて、
 愛したのが家族だった」
につづく、笑って泣けるエッセイ第2弾。

今回は、ご家族だけでなく岸田さん自身の
想いや葛藤などを綴ったエピソードも多く
悩みの尽きない日常の中で、それを笑い飛ばして
くれるような文章が爽快です。

そして、このエッセイには
以前SENSE OF WONDERで販売した
「世界は贈与でできている」に
岸田さんが感銘を受けた話もでてきます。
彼女がこの本をどう受け止め、
昇華させてたのか。
「優しさ」は私とあなたの等価交換ではなく
もっとめぐりめぐるもの。
彼女の体験と文章力で綴られると
こんなにもわかりやすく納得できるのかと
脱帽です。

また、少々ネタバレになりますが
感銘を受けたエピソードをひとつ
紹介させてください。
彼女が、鎌倉の円覚寺の管長 横田南嶺老師と
対談されたときに
「ダメなことと知っても嫉妬をしてしまいます。
 この気持ちとどう向き合えばいいでしょうか」
と質問したときの老師の答え。

自分の基盤をどこに置くかということ。
自分がどう生きれば満足かということを
考えるのです。
嫉妬(私は欲にも言い換えれられるかなと
思いました)は、火のようなものだと。
嫉妬や欲を大きく大きく燃え上がらせると
自分も大切な人も火だるまになってしまいます。
でも、火がなければ暖をとることも
料理をすることもできません。
いかに「ほどよく、いい按配」に
コントロールできるかどうかが大切なのです。

なるほどなあと思いました。
あれもこれも、嫉妬や欲を膨らませて
身を焼き尽くすのではなく
私の幸せや、満足が何なのかをしり
そこに火を調整できるかどうか。
なんだか、とても大切なことを
教えていただいたような気がします。

その他にも、心のモヤモヤを
晴らしてくれるようなエピソードが
山盛りです。

ぜひとも、力いっぱい推したい1冊。
今私の一番のおススメエッセイです。

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