本と旅する京都 第7回鴨川ピクニック
京都は自然との距離が近い街。都会暮らしが長かった翠さんは、京都に移り住んで初めて蛍を見たそうです。そんな彼女のお気に入りの散歩コースは鴨川の遊歩道。春には桜が川沿いを咲き誇り、夏になると子どもたちが飛び石を渡りながら川遊び、カップルたちは等間隔に座って愛を語り、様々な楽器の練習をしている人たちを見かけます。爽やかな風に吹かれながら、それぞれの時間を自由に楽しむことができる場所。今回は、アぺリラさんのパンと花束茶、そしてお気に入りの本を携えて、鴨川ピクニックです。
お気に入りのラグに、朝に庭で収穫したレタスやルッコラ、ハーブ、アぺリラさんのパンに本を並べてセッティングします。パンは特別に焼いてもらったプレーンベーグルにレモンココナッツのパン。すべて自家製の酵母で焼き上げ、酵母や素材の香りが引き立つ、噛めば噛むほど味わい深いパンです。モチモチふわりと小麦の味が甘いベーグルはそのままでも美味しいけれど、朝採れの野菜を挟むとさらに絶品。レモンココナッツのパンもココナツの甘い風味とレモンの爽やかさが優しい仕上がりです。これに、翠さんがはまっているはちみつをとろりと添えます。
「蜂たちが大切に集めてくれたはちみつはビタミンミネラルが豊富で、栄養たっぷり。そして蜜源がなんの花か木か…どこの産地かなど、知れば知るほど奥深いのです。その土地の風景を想像しながらはちみつをいただく。「はちみつから旅する」魅力もたまりません。」と翠さん。
忙しい毎日だけど、ちょっとひと手間かけてカトラリーやグラスをバスケットに入れて、野花を飾り、美味しいパンやはちみつ、お茶を味わう。本を開けば、頬を撫でる風、川のせせらぎ、鳥の声をBGMに、家に閉じこもって読むのとはまた違った本の愉しみを感じられます。本の世界に潜り込むだけではなく、シチュエーションや自然とともに「本を読む」という行為を愉しむのもまた至福のひとときです。
今回翠さんが選んだ本は萩尾エリ子さんの『香りの扉、草の椅子―ハーブショップの四季と暮らし』
ぜひ、あなたの街のお気に入りスポットで、本とお気に入りのアイテムをバスケットに詰め込み、ピクニックしながら本を読むひと時はいかがでしょうか?遠くへ行かなくても、本の世界へのプチ旅行が楽しめるはずです。
出演=松尾翠 撮影=若松亮 文=佐賀裕子 コーディネート=和田えり 協力=アぺリラ 高橋さやか
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