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学級通信の書き方(1)「発行までに知っておくべきこと」

はじめに

私は、毎年100通程度の学級通信を書きてきました。年間200日程度の登校日があるので、2日に1通のペースになります。若い頃は、年間100通とはいきませんでしたが、年々コンスタントに出せるようになりました。安定して学級通信を発行するにはコツがあるのでシェアしたいと思います。

ここ数年は、主幹教諭として各担任が発行する学級通信の誤字脱字等の点検を行っています。おかげで、よい学級通信とはどんなものなのかを考えることができました。

まず、学級通信とは何かをはっきりさせましょう。これ自体は、必ず発行しなければならないものではありません。しかし、多くの先生が作成し、発行するため、「当然あるもの」と期待している保護者は多いと感じます。

ですから、学級通信を発行しないと「うちの担任はサボっている」と謂れのない批判を受けることもあります。また、学年を組んでいる同僚がコンスタントに発行している場合、「うちの担任はハズレだ」というレッテルを貼られかねません。

働き方改革が言われるなか、書くことが苦手な先生にとって学級通信を発行することは苦痛がともなう作業かもしれません。

必ず発行しなければならないものではないにも関わらず、まったく理不尽な話です。

次に、学級通信とは保護者に宛てて書くものです。若い先生に撮って保護者のニーズを捉えるのは簡単なことではないかもしれません。私は、2児の父で、2人は高校生と大学生ですから、そこそこ子育ての経験年数もありますので、若手の先生には保護者目線を含めたアドバイスをすることができます。

こんな風に書くと、学級通信を発行することに対するハードルが上がってしまったかもしれません。

でも、この記事を読んだらもう大丈夫です。

読んだ後は、短時間で、コンスタントに学級通信を発行できるようになります。何より学級通信を発行するのが楽しくなるはずです。ぜひ、最後まで読んでください。

まずはタイトルを考えよう

さぁ、4月です。新しい生徒とともにあなたは、山あり谷ありの1年間の旅に出ます。学年を組む同僚も転入者を迎え、刺激を受けたり、空気が一新されていることでしょう。学年の中であなたが1番の若手かもしれません。初めての後輩ができたかもしれません。それぞれが、ワクワク、ドキドキの新年度をスタートします。

そのなか、一番大切なことは、あなたがあなたらしく教育という尊い任務を遂行し続けることです。自分のパフォーマンスを発揮してくだい。

最初に明らかにしたように、学級通信には発行する義務はありません。担任の先生が余力の範囲で学級経営をより豊かにするための補助ツールです。

ですから、タイトルはあなたらしさが一番出るもので構いません。

しかし、いくつか気をつけるべきポイントがあります。ここでは3つ挙げておきます。

1. わかりやすさ
2. 前向きさ
3. あなたらしさ

まずは、わかりやすさです。

私は英語教師ですが、パッと見、意味も意図もわからない英語のタイトルをつけた学級通信を見かけます。おそらく、辞書の片隅から崇高なイメージの表現を抜き出したのだろうと思われるものや、明らかに和製英語や日本語のイメージを直訳した奇妙な英語表現を見かけます。

英語がわかる保護者目線で見ると、「何これ?この先生の語学力はこんなもんなんだ!」という印象を持たれかねません。

また、古事成語等、難解な四字熟語は避けるべきです。選ぶなら誰でも知っている平易なものから選びましょう。また、「平易」のレベルは人によって異なることを意識しましょう。

もし、どうしても使いたいのであれば、サブタイトルでしっかり意味とねらいの説明をつけることです。第1号で意味の解説をしても、時間とともに忘れられるので毎回掲載してしっかり覚えてもらうようにしましょう。

タイトルは、わかりやすくすることが最も大切です。

次に、タイトルは明るく前向きな方がいいです。

例えば、「ひまわり」とか「太陽」等、暖かさや明るさをイメージする言葉が含むように意識しましょう。保護者が家で子どもに「今日は『ひまわり』をもらってこなかったかい。」と子どもに確認するシーンをイメージしてタイトルをつけましょう。

「学校で『お便り』もらってきていないかい?」と言われるのではなく、「先生から『ひまわり』もらってきていないの?」と聞かれる時点であなたの信念や情熱のかけらが保護者に伝わったことになると思いませんか?

最後の「あなたらしさ」とは何か。

若くても教師としての情熱や信念があるはずです。

あなたが大切にしているものが学級通信を配るたびに伝わるようにしましょう。タイトルだけ読めばあなたのメッセージが伝わるのです。

ちなみに、私は子どもたちがいつまでも希望に向かって頑張り続けることができる世の中であってほしいという願いを込めて、タイトルにはいつも「希望」の文字を入れていました。

懇談会で、「先生、いつも『希望の○○」読んでるよ。忙しいのにありがとう!」と言われると心の中で小さくガッツポーズしていました。

ぜひ、口にしやすいタイトルをつけることを意識してください。

どんな内容にすればいいの?

さぁ、タイトルが決まり、何を書くのかを考えるところまできました。でも、いきなり書くのではなく内容の基本方針をしっかりと固めましょう。

学級通信を発行してどんな効果を期待したいのか。それが内容を決める土台になります。

私が、学級通信の内容について気にしていることは以下の3つにまとめることができます。

1. 定期的に発行して子育てチームを作る
2. 平易かつバリアフリーな書き方をする
3. 写真と個人情報は公平性を軸にする

まず、よい学級通信の条件として定期的に出されることがとても大切です。不定期になると担任の思いつきや気分で書かれている感が強く出ます。気分で書くので説教的な内容が散見されるようになります。

理想は定期的です。「毎週○曜日には必ず出る。」とか、ほとんど毎日出るという印象が保護者に伝わるように書くことが大切です。

では、「子育てチーム」と作るような内容って何でしょう?

難しく考える必要はありません。伝えるものは3つです。

1) 行事等の予定
2) クラスの様子
3) 子どもの記録

翌週の行事予定を記載しましょう。すると、持ち物や費用などの確認を載せる必要が出てきます。さらに、保護者の参観が可能かなど、知って得する情報は意外とあるものです。

保護者目線に立つとスケジュールを共有してくれる相手とは連携しやすいものです。例えば、「寄付をお願いしている雑巾は、来週の月曜日で締め切りです。すでに寄付をいただいた皆様、ありがとうございます。」と書けば、寄付した家庭にも、まだの家庭にも必要な情報が伝わり参加しやすくなります。

行事や授業でのクラスの様子を記載することも大切です。併せて3番目の子どもの記録をシェアすることはとても有効です。

「今日、社会の先生から○組は話し合い活動の時にとても熱心に議論して考えを深めていたと言われました。担任としてもとても嬉しく思いました。」と書けば、クラスの事実を家庭と共有することができます。

また、「○○さんが英検2級に合格しました。」とか、「○○さんが、転校してきました。」のように、個々の生徒に関わる情報は、本人の了承を得ながら積極的に共有することで、担任、子ども、保護者の三角形で絆が深まっていくことでしょう。

さらに、このように、個人情報(写真を含む)を記載するときは公平性にも留意が必要です。ぜひ、個人名を出したときはリストを作成し、一部の目立つ子どもに偏ったり、1年間で1度も個人として取り上げられる子どもが出たりしないように意識してみましょう。

公平性が保たれている学級経営は絶対必要です。子どもも保護者も安心感を感じる最大のポイントは公平性と言っても囲んではありません。全員を学級通信に登場させるコツは別の機会に紹介します。

学級通信作成のコツは、スケジュールと事実を共有することです。

このポイントを押さえておけば学級通信を書くことはそんなに難しいことでなくなるはずです。

また、発行するたびにあたなを支える応援団が出来上がっていくので、自分のスケジュールに学級通信作成を組み込まない理由が見つからなくなるはずです。

さぁ、ここまでで学級通信で何を書けばいいのか明らかになってきたはずです。

書き方のコツ

次は、書き方についてです。書き方のコツには心得とテクニックに分けて考えるとよいでしょう。

書く時の心得は、平易な表現とバリアフリーな見た目に気を配ることです。

教員は専門職なので、日頃、気づかないうちに業界用語(専門用語)や難解な言葉を使っています。また、読み手の保護者は、1日の仕事を終えクタクタになって帰宅してからあなたの書いた学級通信を読むのです。この2つを心に留めておくと、次のような学級通信は発行しても読まれません。

1) 文字が小さい上、びっしり書かれている。
2) レイアウトやフォント選択が悪い。
3) 説教じみている。
4) 専門用語が多い。

子どもが保護者に渡しても、読まれなければ意味がないのが学級通信です。是非読まれるように書いてください。説教じみていて専門用語が多い通信を疲れた時に読みたい人はそう多くないと思いませんか。

書き方のテクニックとは1)〜4)の逆をすればいいのです。

そうすれば読まれる学級通信に1歩近づくことができます。

文字は思い切って大きめのフォントサイズを選択してください。14ポイントでもまだ小さい。16〜20ポイントくらい思い切って大きくしてください。

それだと1通あたりの記載可能な情報量が心配という人は、2通に分けて書いてください。

レイアウトも新聞のように段を組むのではなく、横書きでシンプルにしましょう。読みやすさ最優先です。

「説教じみた内容を若造に言われても響かない!」という保護者もいます。また、「それはあんたの指導力がいまいちだからでしょ」と反感を生んで終わりになる危険性もありますので、感情に任せたネガティブな内容を書き連ねるのは極力避けましょう。

専門用語や難解な表現が多い学級通信も、結局伝わりませんので平易かつ日常的な言葉でき書くことを心がけてください。

ちなみに、このnote記事は大学、短大を卒業し、教員免許状を取得し教員を志す、または駆け出しの若手教員を意識して言葉を選択しています。

保護者には、読むことが得意な人もいれば、苦手な人もいます。視力や聴力が弱い人もいます。多くの人にとって読みやすい言葉遣いとフォントの大きさと形に配慮すべきです。

ちなみに推奨するのは、本文の場合、教科書体の16ポイント以上です。見出しやタイトルはこの限りではありません。本文を書く際にはコミカルな丸文字は極力避けるべきと思っています。文字自体の印象が強すぎて内容とのミスマッチを起こしやすいからです。

おわりに

最後まで読んでいただきありがとうございます。

ここまで読んでいただいたら、学級通信には保護者と子育てチームを作りあなたの学級づくりをサポートする力があることがわかったと思います。

書くことが苦手あるいは自信がない人でも、スケージュールと事実をまとめたら1通の通信ができるとわかりました。大きめのフォントで書けば読み手にも書き手にも優しい学級通信の出来上がりです。

小さな文字でぎっしりと巧みに書かれた学級通信は文才のある人に任せておけばいいのです。

定期的に、コンスタントに、子どもたちの様子をこまめに伝え、学校行事等の予定を少し詳しく伝えれば良いのです。

それに、ほんの少し「あなたらしさ」というスパイスを加えたらこの世にひとつだけの成長記録が出来上がりです。

それは単に子どもたちの成長を残すだけでなく、あなた自信の教員としての成長を促したり、記録したりしてくれるのです。

保護者の中には、子どもの成長記録として学級通信をファイルに閉じるなどして保存してくれている人がいます。

自分の書いたものが他の人の人生に影響すると思ったらとてもやりがいのあることだと思います。

さぁ、4月です。

子どもたちはどんな先生が担任なのか不安と期待でいっぱいです。

子どもたちと同じく保護者もあなたに期待しています。

あなたらしさを生かして、学級経営のいいスタートを切ってください。

令和3年3月28日作成

次回は、学級通信の書き方(2)「子どもの様子を簡単かつ効果的に伝える一石二鳥の方法」を紹介します。

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