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例えば日記がなくなったとして


何かを伝える時、残す時
かつては紙に書くというのが普通でしたが
時の流れは早く昨今ではデジタル化が進み
僕らは文字を書く機会が一段と減りました

しかして気持ちというのは書いた言葉や文字に宿ったりすると言います

うちのお母さんは昔から何かと贈り物をもらった時に直筆の手紙を添えてお返しをするのです
親戚にメロンを貰った時やお年玉を貰った時によく小さな便箋に1人一枚、3人兄弟で文書を綴っていました

頂いたものは必ず返すという精神の元、僕らは筆を走らせることに勤しんでいましたが、次の年には前年を遥かに超える贈り物が届くというのに気がついたのは中学生ぐらいの時でした

お母さんには知り合いが多いんだなぁと思っていましたが、それはある種の間違いで昔から付き合いのある大切な人をただ大切にしているのだと気づきました

もう何年も会ってないのに贈り物が届く
それは多分お手紙の力であろうと感じます
もらって嬉しい物は沢山あれど、気持ちをより近く感じるのは手紙なのでしょう



そんなお母さんは僕ら3兄弟が3歳になるまでの育児日記を全員分つけていました

育児日記より

僕が20歳を超えてからも親戚や幼き頃を知る人からは、いつも泣いていたと言われるほど自分は大変だったらしく夜泣くので起きてあやした、お父さんに散歩に連れてってもらったという文脈が多くありました

前に近所に住んでたよく遊んでくれたお兄ちゃんのお母さん曰く、鳴き声でマンションが壊れるんじゃないか?と思っていたとのこと

そんな状況でも日記を書き
そして泣いていることに関して責める文脈が一文も見当たらないのは愛である他ないでしょう

それどころか沢山泣くのでパパに当たってしまった
弱虫でごめん、強い母親になるという文章がありました

お母さんへ
たまに私の子育ては合っていたのかなぁと言う時がありましたね

反抗期
ご飯を作ってくれたのにこれだけ?
などと言った事をとても後悔してます
襖を破る兄弟喧嘩も沢山して
学校の成績はいまいちで
受験も失敗しました

何かあってもいつも食卓に並んでいる手料理

一人暮らしをして納豆ご飯と味噌汁がご馳走だという事に気づきました

沢山失敗したり上手くいかなかったこともあったけど、人には恵まれてます。人をみるという訓えがあったからですね。

ありがとうを伝えるのが遅くなりました
お母さんとお父さんの子でよかったと心から思います。あなたの子育ては決して間違いではなく堂々と胸を張って自慢の兄弟になったなと言わせてみせます

いつもありがとう

いつかふたりのウエディングをもう一度撮れたら幸せです

2023.09.05

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