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とある一人の男が占い師になるまで #21 ~信用金庫職員編~

渉外係に配属されて4カ月以上が経過したものの、日々の集金業務に追われ、なかなか営業活動に時間を費やせず、さらに本部の債権管理部の部長代理から嫌味や説教を受ける事も多くなり、悶々とした毎日を送っていた男。
悩んだ末、遂に男は集金業務の効率化を目指す事にした。

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『よし、お願いできるところからお願いしていこう』

別に私は債権管理部の△△代理の行動に共感した訳ではない。

ただ単に悔しかったのだ!

運よく早い時期から融資を経験できたかどうかだけで、その後の信用金庫生活に大きく影響してしまう事に対して。

まず私は、週3回集金に向かっている個人事業主のお客様に対し、何とか週2回に減らす事ができないかどうかお願いしてみた。

『すみません、ちょっとご相談なのですが、現在月曜と水曜と金曜の週3回集金にお伺いしておりますが、もしこれを月曜と木曜に変更するとしたら、やっぱり厳しいですよね……』

「いやいや、別に大丈夫ですよ」

『え、そうですか!』
『ありがとうございます!』
『実は、今度から私の担当エリアが広がる事になってしまいまして……』

「そうなんですか、大変ですね」
「うちは全然構いませんので、気にしないで下さい」

『本当にありがとうございます!』

どうやら納得して頂いたようだ。
ちなみに、「私の業務範囲を広げたい」というのが正直なところなのだが、お客様には「私の担当エリアが広がる」という伝え方の方が納得しやすいと思ったので、そのように説明させて頂いた。

もう一つ、週3回集金に伺っている法人があるので、そちらにもお願いしようと思った。
ちなみに私は、こちらの法人の経理担当者の男性とはかなり気が合っている。

『今日はちょっとご相談があるのですが……』

「え、まさか、お金を貸してくれとか言わないですよね!?」

『いえ、違いますよ(笑)』
『銀行マンがお客様からお金を借りてどうするんですか!』

「と言う事は、まさか合コンのお誘いですか!?」

『残念ながら、それも違います(笑)』
『てか、○○さん(経理担当者の名前)結婚してるじゃないですか!』

「えー、じゃ何ですか!?」

『実は、今後担当エリアが増える事になりまして、現在月曜と水曜と金曜の週3回集金にお伺いしているのですが、月曜と金曜の週2回に変更する事は可能でしょうか?』

「なんだ、そんな事ですか」
「別に構いませんよ」

『すみません、ありがとうございます!』

「その代わり、今度可愛い女の子を紹介して下さいね!」

『いやあ~、それはちょっとお約束できないです(笑)』

こんな感じで、私は何とか週3回の集金先を週2回に減らす事に成功した。
これだけでもかなり楽になれる。

次に私は、個人の集金先について、留守の多いお客様に対しては、家に居る確率の高い時間帯や曜日などをお伺いし、できるだけ二度手間にならないように試みた。

引継ぎ当初は遠慮していた部分もあったので、お客様に対して要望を伝えるような事はしなかったが、何回か顔を会わせていくうちに、多少なりとも要望を伝えられるようになったのだ。

そして、これはできれば実行したくなかったが、あまりに留守の多いお客様に対しては、集金ではなく、自動振替をお勧めしてみた。

自動振替にするメリットは、お互いに気を遣わなくて良い事と、間違いが起こらない事だ。
逆に集金のメリットは、顔合わせのついでに、金融商品や個人ローンなどを推奨できる点だ。

なので、資産家など明らかにお金を持っていそうなお客様の場合、定期的に顔を会わせておいた方が、何かのきっかけで力になってくれる可能性が高くなるので、集金を継続した方が良い事になる。

「お客様を選ぶ」というのは、あまり良い印象を持たれる話ではないと思うが、こうでもしないと本当に営業活動に時間を費やせず、上長や本部の人たちから圧力をかけられてしまうのだ。

今回、私は可能な範囲内で集金業務の効率化を進めていったが、やはりできるだけお客様の立場に立って活動していきたいという気持ちは変わらず、私の中では葛藤ジレンマを抱える事になった。

しかし、これだけでは終わらない。

その後も、私は様々な葛藤ジレンマを抱える事になる!

To Be Continued ➤





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