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とある一人の男が占い師になるまで #9 ~信用金庫職員編~

一人の先輩男性職員が退職し、何となくモヤモヤした気持ちを抱えながらも、M支店でひたすら本出納業務を担当する日々を送っていた一人の男。
そしてこの男の中で、少しずつ葛藤を抱える出来事が起こり始めていく。

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「毎年、男性の新入職員が野球大会の応援に行くのは恒例だから」

ある日、私より2年先輩の男性先輩職員と一緒に、休日にも関わらず、信用金庫の野球部が出場する大会へ応援に行かされる事になった。
どうやら、地元にある信用金庫の野球部だけで開催される大会らしい。

(はあ~、せっかくの休日なのに……)

申し訳ないが、全く気が進まなかった。
何が楽しくて、知らない人たちばかりが参加している草野球の観戦に行かなければいけないのか?
しかも、開催地は自宅からかなり遠い場所だった……。

男性の新入職員のみが応援に行かなければいけないという事にも不満を感じていたが、それ以上に嫌だったのが、男性の新入職員が全員集まるという事は、気の合わない男性の同期生たちと嫌でも顔を会わせなければいけないという事だ。
案の定、同期生たちとすれ違う事があったが、軽く挨拶する程度で、会話をする事は全くなかったと言って良い。

その姿を見て、同行しているM支店の男性先輩職員が、
「今のは同期の人?」
と疑問を投げかけてきた。
恐らく、同期生ならもっと会話をするはずだと思って、違和感を感じたのではないだろうか。

ちなみに、その先輩職員は学生時代に野球部だったという事もあり、かなり親しみやすいキャラクターでもあったので、色々な知り合いの人たちとすれ違う度に楽しそうに会話をしていた。
恐らく彼の同期生であったり、私が入社する前に一緒にM支店で仕事をした人であったり、飲み会などを通じて知り合った他店舗の人たちなのだと思う。

改めて、私は自分のコミュニケーション能力の低さや人脈の薄さに惨めさを感じてしまった
私がその日に話せたのは、M支店の職員だけだったからだ。

結局、その日は全く面白みを感じる事なく、ただ単に疲れた一日を過ごしただけで終わってしまった。

そしてその数週間後、今度はM支店の地元で開催されるお祭りの手伝いに参加させられる事になった。
ちなみに、これも休日出勤である。

今回はM支店の職員のみが参加するイベントなので、少しだけ気は楽だったが、それでも私の気分は晴れなかった。
元々お祭りというのが好きではないのだが、それ以上に、イベント手伝いのような機転の利く行動が求められるような仕事は本当に苦手だからだ

ただでさえ、M支店で一番下っ端という立場なため、こういう時は非常にコキを使われる事になる。
結局その日も疲れただけで、単に貴重な休日が潰されただけで終わってしまった。

野球大会の応援にしても、お祭りの手伝いにしても、自分が参加したくて参加した訳ではなく、周りの上長職員や先輩職員に気を遣ってばかりいて、それで休日が潰されてしまうのだから、私にしてみると本当にたまったものではないと感じてしまったのだ

こういう事が続くと、どうしても信用金庫の仕事に対して葛藤を抱える事が多くなってしまう。

しかし、葛藤を抱える日々が影響してしまったせいか、後日、男は入社して以来の最大のピンチを迎える事になる!

To Be Continued ➤




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