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川柳諸島がらぱごす、2023年夏号です!(プロローグ+九十九句摘み)

 ごぶさたしております、川柳諸島がらぱごすです! お元気ですか?
 気がついたら前号から1年経っていたというおどろき。だれがいちばんおどろいているかって、われわれですよ! 譲るもんか!!

 ともあれここに、川柳諸島がらぱごすvol.3、公開できるはこびとなりました。お待ちくださっていたみなさま、お待たせしました。お初のみなさま、はじめまして。こころゆくまでお楽しみください。。。

 ……お気づきですか。
 そう。vol.2、飛んでます。
 じつはvol.2、現在進行中なのですが、内容があまりに濃密になってきたため、引き続き育てています。後々きっと出しますので、まずはvol.3からどうぞよろしくお願いします。
 
 それでは以下、ダウンロードいただけるpdfデータと、テキストにて公開します。
 ゲストになんと歌人の橋爪志保さんをお迎えしての九十九句摘み、という特盛りの内容。お時間お気持ちよろしいときに、ご覧ください!


川柳諸島がらぱごす vol.3
『橋爪さんと、ねむいねむい九十九句のはなし、の巻』



プロローグ


西脇祥貴(以下、西脇)
 〽わったっしーはっ、ないてーいますっ、べーっどーのうーえでっ♪ こんにちは、川柳諸島がらぱごすです!

城崎ララ(以下、城崎) ごきげんよう! ごきげんな西脇さんと城崎でお送りする、川柳諸島がらぱごすです。西脇さんなんの歌ですか?

西脇 りりィさんの「私は泣いています」ですな……歌詞はかなしいのにリズムがいいので歌い散らすのに最適、なんて話はともかく!ちょっと、今回もすごいゲスト、お招きしちゃいましたよ!!!

城崎 ふんふん。ご機嫌でよいことです。そしてそう、今回もスペシャルなゲストをお招きしてお送り致します。
歌集『地上絵』*1でご存知の方も多いのではないでしょうか、橋爪志保さんです〜!

橋爪志保(以下、橋爪) どうもこんにちはー! 橋爪志保です! どんどんぱふぱふ〜!! よろしくお願いします〜!!!

西脇 セルフどんどんぱふぱふありがとうございます、いや、ほんとに来てくださった。ありがとうございますー……!!

城崎 わ〜いいらっしゃいませ!! やったー!!! ウフフわたし地上絵大好きなんですよ、地上絵が好きすぎて階段歌壇*2に一時投稿していたことがあります。今回はゲストにおいでいただきありがとうございます! よろしくお願いします〜!

橋爪 わーい!お招きいただいてほんとうにありがとうございますっ❤︎

西脇 さてですな……今回のがらぱごす、じつはがっちり企画が決まっております。。。
 なんと。われわれ三人で、『川柳九十九句摘み&たのしい感想戦』を! やりまーーーす!!!

橋爪 うおー!!!! 企画ダー!!! うれしー!!!! 99ってものすごい数ですね(千柳*3というネプリをつくっている人間のセリフではない)。「摘み」とはどんなことをするのでしょう。

城崎 ウフフそうなのです、これはいちごつみをもとにした遊びですね。もともといちごつみとは、前の短歌/俳句/川柳などからいちご、=一語を引いて、新しい歌や句を作る、というものです。短歌でなされることが多いでしょうか? この一語引くことを、「摘む」といいますね。

西脇 そこをわれわれは強欲なので、一語だけ摘んだんじゃつまんない、句ごと摘んだらあ! ということで「九十九句摘み」にして、ひたすら川柳してみようとしているわけですね。語だけじゃなく、句のイメージや読み取れた意味を根こそぎ摘んで、つづけてみようという……。

橋爪 なるほど、何を摘んでもよしの、フリーダムの「摘み」ですね!! おもしろそう。

西脇 ねんのため、決まりがないということをことばにしたのが、↓です。
 
(ざっくり式目)
・前のひとの句を見て句を付ける。じぶんのもちものをフル稼働する。お砂糖、スパイス、日経WOMAN*4……。
・句の形式は問いません。五七五、七七、破調、短律、なんでもこい。
・ことばを摘む必要もありません。飛躍どんとこい。でもじぶんの中での理屈はあったほうがいい……かも……?
・連句じゃないので、前の方の句を伏線にして回収しても可。ただしお笑いではテンドンは三度までといいます。参考まで。
・いい句だったらメチャほめる。
・付けるのに困ったら正直に言いましょう。みんなで考えるのもあり。

 
摘み合うだけでもぜったいたのしいのに、さらに今回は、感想戦までやってみちゃおうという……てんこもり企画です!

城崎 西脇さん式目ありがとうございます。ニュアンスとしては「摘み」より「汲み」ぐらいの方かもしれませんね〜!
 と、いうわけですので、今回は三人で、どきわく! 川柳九十九摘み! をやっていきますよ〜!

橋爪 うおー! 楽しむぞー!

西脇 それじゃあさっそく、順番決めましょうか。あみだでいいですか。

城崎 あみだくじ! オッケーです、お願いします〜。

西脇 それではい、ろ、は、から、お選びください……。

あみだくじ(いるかの)

橋爪 わたしから選ぶー! 橋爪の「は」で!

城崎 かわいいイルカ。ナイス絵心。ろで!

西脇 それではわたくし「い」、ということで、結果がこちら↓

あみだくじ(らいおんとさいの)

 橋爪さん1番目、西脇2番目、城崎さん3番目、ということで! うわー、ゲスト回らしいいい順番!!!
 それでは橋爪さんの句から、九十九句摘みスタートです!



九十九句摘み(本編)


※スマホでご覧の方は、以降横画面にてお読みください!
(縦画面だとレイアウトがくずれ、見にくくなる場合があります)

(挿絵『らいおんの夏』)


こんな世じゃ理論武装の茶摘みかな                   橋爪志保

 旅ゆけば原子かぐわし緋のあたし             西脇祥貴

煮詰めたジャムが旅と呼ばれる               城崎ララ

 金色のかいけつゾロリ味のジャム              志保

母のない日よ覆面は降りそそぐ                祥貴

 降りそそぐものすべてのハロー               ララ

挨拶を忘れてレゴを投げてよい                志保

 カリブ青しやきょうも虚無虚無                 祥貴

海賊に似ても似てなくてもおばけ              ララ

 歌合戦に似た地蔵盆                   志保

猫背の背中犀と見送る                   祥貴

 金木犀よ お辞儀しません                ララ

玄関で鍵が回ればあたしンち                志保

 父も知らない麻婆豆腐                  祥貴

針はいま墓の柔らかさを想う                ララ

 想い出は陽キャ陰キャの不文律              志保

いつもボタンをくれたガンディー              祥貴

 利き手はいつも無口、戸締まり。             ララ

黙らっしゃいの中の接客                  志保

 Have a seat, please. Beef, chicken, or any other dreams?  祥貴

夢がよってたかってホントにして了う            ララ

 了解了解と鳴く鈴虫                   志保

(暗転)ト、ストップ・ザ・シーズン・イン・ザ・サン    祥貴

 春のストリップ・ダンスを唐揚げる             ララ

三回もダンスと言うな春樹、ミスチル             志保

 桜井かそれ以外かの交差点                    祥貴

(挿絵『さいの夏』)

漫才に熨斗掛けたまま後始末                  ララ

 満月へ揺れるすすきがなんでやねん            志保

オルガンと、す、す、すすすすす、すき、になって殴りあう  祥貴

 性愛の苦みを問えば吾亦紅                ララ

良薬は口に…ペロ…あれ……ペロ……美味い             志保
   
 ♪Lollipop みんな粗雑なバイトだな                  祥貴

天国のロリポップには羽根がある               ララ
   
 羽根の中にある根                        志保
   
√おまへの母ちやんでべそ                    祥貴

 悪口を塞ぎ鸚鵡に喋らせる                 ララ

煮た鸚鵡焼いた獺トラディション               志保

 鯖並べて山河                       祥貴

HeySiriの後の山々の沈黙                      ララ

 ゆるせない美味さAI味噌ラーメン              志保

出前専用ローブ・デコルテ                   祥貴

 肋骨で諸行無常を響かせる                  ララ

肋骨を並べて叩けビブラフォン                 志保
   
 もしもしぃー、あたし肋骨左翼なのぉー            祥貴

捨印ついて翼焼却申請書                    ララ
   
 国宝の書類を皿に花見せよ                  志保

灰か 霞か 天網過ぎる背美鯨                 祥貴
   
 菜の花のいずれの首に罪はある                ララ

日めくりをまとめてめくる罪流刑                志保

 平日を悼むタンゴに睡らせて                 祥貴

わたしを赤くするな喜び                    ララ

 よろこびが犬のかたちになり吠える              志保

(挿絵『いるかの夏』)


寝転がって絡まって放蕩餃子          祥貴

 ゆっくり食べる 腹が立つまで        ララ

自画像のアクリルキーホルダーを割る      志保
 
 かけらのなかはとわの霧雨          祥貴

荒天に揚げたてドーナツ掲げる         ララ

 星月夜からりとダリの髭揚がる        志保

ぐ う ら り と 船尾のキリン燃えている  祥貴

 千疋屋・居残りの正体は愛          ララ

怪人の正体は海岸               志保

 眠ルせんとういん              祥貴

おやすみすべてのねむりごな          ララ

 蚊柱がねむい                志保

除染機もねむい                祥貴

 揺さぶっている 詩は紅茶の匂い 歌は春雨  ララ

しまうまの進化系としての流鏑馬        志保

 撃ち抜かれ二死満塁の蜻蛉洲         祥貴

蛇行するトンボの虹色の地上絵         ララ

 ヤゴの脚絡みあったらカンパネラ       志保

水曜は闇の奥からON AIR              祥貴

 海水にまみれて猫の五本指          ララ

約束にまみれたカレンダー重い         志保

 日々を撲つ「がんばってから死にたいな」   祥貴

まな板に寝かせて死から削ぎ落とす       ララ

 浴槽の水面にOLの鱗             志保

ぐ継を息で裸空夜のまさかさ           祥貴

 銛の背にリボンをかけて握らせる        ララ

さるすべりすべらぬための紅リボン        志保

 ほら空調の声はうたえる            祥貴

ころんでよころんでよって竈馬          ララ

 蟋蟀のジブリメドレー全部聴く         志保

終演を知ったぼくらが驢馬になる         祥貴
  
 幕開けは夜明けの直喩 紐を断つ        ララ

わからない紐落ちていてそれを引く        志保

 だらしなく暴発――河鹿喚びますか       祥貴

芸術は人生はって煮卵喋る            ララ

 ホログラムが産んだホログラムの卵       志保

雛として1/fゆらぐから            祥貴

 ⚡ ⚡ ⚡ 2秒買う               ララ

1分と60秒を両替す              志保

 連コイン アームは昼を剥ぎ取って       祥貴

確率機ころぶ涙も情もある            ララ

 世界ふしぎ発見の涙は日立           志保

東芝がいない世界の恋人たち           祥貴

 ホンモノの恋はお醤油かけたほう        ララ

醤油ってほとんど池袋だから           志保

 それで付録が裏紙のサンシャイン        祥貴

付録から生命線が伸びてくる           ララ



(挿絵『さんびきの夏』)


九十九句摘み感想戦に、続く……!!)


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