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【決算書のポイント】別表2


雨に映える紫陽花の花も美しく、爽やかな季節となりました。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。本日も決算書を見ていく上で
押さえておきたいポイントについてお話していきます。



☆株主とは→別表2は株主名簿の役目を果たしている

 よく耳にする株主という表現。要は会社の所有者ということですね。経営と所有の分離という表現もよく耳にしますが簡単に言うとお金がある人(株主)が資金を出して経営の能力のある人(代表取締役や役員)に仕事を任せるということです。
 そして、その株主が決算書において記載されているのが今回の別表2ということになるのです。
 株主総会は会社の代表者を変更するほか様々な会社業務における最高の意思決定機関であり、代表者をクビにすることもできる強い権限を持っています。
 しかし、僕の見る限りほとんどの日本の中小零細企業の株主は代表取締役つまり社長であることがほとんどです。つまり、大株主が社長本人であるという所有と経営の分離が行われない、いびつな形の個人事業のような形態の会社がほとんどであるといえます。
 本来的に日本の商法が期待したような株式会社の形態を持つ中小企業は現実的にはほとんどなく、個人事業のような株式会社が数百万社もあることになっているといえます。(実際には350万から400万社ともいわれています)

☆法人税申告書別表2のポイント


一般的な法人税別表2


1 株式の総数

ここには決算期末現在に発行されている株式の総数が記載されています。上記見本によると200とありますので、200株発行されているということです。
 前回ご説明した別表1の資本金の欄があったと思いますが、そこが1000万円だとしたら、一株は1000万円割る200株で一株5万円ということになるわけですね。(これは会社の定款や登記簿謄本にも記載されています)


2 株式数による判定

 これは下記に記載している株主が全株式のうち何パーセントを所有しているかという比率を表しています。こちらに関しても日本の中小零細企業に関していうと僕の見る限りほとんど代表取締役が発行済みの株式をすべて持っているという形態がほとんどだでした。
 むしろ100%でない中小零細企業の方が珍しいといってもよいくらいです。
 なぜこのようなケースが多いのかを僕自身の経験で考察してみると以下が上がります。

  • 株主が分散していると資金調達する際に株主が連帯保証人にされる可能性がある→たとえば株式比率が過半数以上ある株主がいる場合などは金融機関から見ても実質的な会社のオーナーとみられて連帯保証人とされるケースがあった。もしくは資金調達を行う際にその関係性などを細かく聞かれるケースが多い。

  • 株主が50%ずつの2名の株主構成といういわゆる共同経営的な法人設立を検討される会社さんも多いのですが、僕も見る限りそれはどこかで空中分解するケースが多いように見受けられます。やはり中小零細企業においてはリーダーシップをとれる人材は一人である方が経営が効率的にスピーディーに回るような気がします。

  • そもそも自分が社長で会社を設立するのだし、資本金は1万円でもいいのだから自分一人で十分だという考え。

  • 経営のチェックを行う株主が増えると今後の事業展開においていろいろ口出しされて面倒だという考え方。

本来であれば経営のオーナーとして事業運営を委任した代表取締役の業務執行のチェック機能を果たすべき株主の存在が逆にうっとうしがられているということだと思います。


3 同族会社かどうか

 同族会社というのはいわゆる経営者一族がオーナーである会社ということです。(かなりざっくりと表現していますが・・)株式が市場で流通する上場企業とは違って中小零細企業の場合はこのような家族経営的な会社がほとんどであるといえます。
 また、株式の譲渡に関しても一般的に(譲渡制限)というものを設定する会社がほとんどです。(法人設立をする際に定款に記載し登記簿謄本にも記載がされる)これは勝手に株式をだれかに譲渡するなどの行為はできず、いちいち株主総会を開催し、議決を得ないと株の譲渡もできないということです。これにより会社のオーナーシップの安定を図ることにで会社経営の基盤の安定化を図っていると善意に解釈することもできると思います。

4 株主の住所、氏名

 ここには誰が株を所有していて、どこに居住しているのかが記載されています。金融機関が会社の株主をチェックするときにはここを見るのです。
 実際に日本の中小零細企業で株主名簿を具備している会社はほぼ皆無ですし、株券を交付する会社もほとんどありません。
 会社の株主が公的書類に記載されるのは会社設立時の定款のみであり、その後の株式の流動は株主総会による議事録でしか書面では確認できないのです。そういう意味ではこの別表2が実質的に株主名簿であるといっても過言ではありません。

5 株式の所有数

 上記4に記載の人がどれだけ株式を所有しているかの株数の記載があります。ここでは200株とあるので、会社で発行する株式の100%がこの型が所有しているということになります。
 また株主が複数いる場合にはこの欄に氏名が並んで株式数も分割されて表示されることになるのです。


別表2の説明は以上になります。繰り返しになりますが、この別表2は日本の中小零細企業の実質的に存在しない株主名簿のような重要な書類だといえます。皆様も目にすることがあれば上記のことを意識してみてみてください。皆様の決算書ライフのお役に立てればうれしいです。


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