「街とその不確かな壁」を読みながら、「純恋」と「永遠の迷宮」の世界に彷徨う
80年代に多感な時期を過ごした自分(‘68)と同世代の中には、村上春樹と佐野元春の両方のディープなファンであるというヒトは結構多いのではないかと推測します。自分もそういう典型の1人であり(どちらかといえば元春サイドにいる)、振り返ると、青年期に出会ってからずっと2人の作品は身近なものとして存在していました。
さて、この「街とその不確かな壁」ですが、なかなか骨の折れる一冊でした。自分の読書能力が衰えてきたこともあって、第一章を読み終えても小説の世界をうまく自分の中に構築するこ