男子宝石
そこは日本のある美術館、サファイアで作られた男の子の像がありました。その像はあまりにも美しい男の子が歳をとりたくないと神様に祈って、永遠の美の代わりにサファイアにしてもらったという逸話がまことしやかに語られていました。
そこに現れたのは、ロマンスグレーのお金持ち。一目見て恋に落ちたお金持ちは毎日美術館に通いつめ、その男の子をありとあらゆる愛の言葉を囁くのでした。ー美しい、その笑った顔をもっと見せておくれ、あぁ零れ落ちそうな唇で私と話しておくれー等々。そして、男の子もそのお金持ちが来るとまるで恋人を待っていたかの様に光り輝くのです。
やがて、不治の病にかかった哀れなお金持ちは医者の絶対安静の言葉も聞かずに男の子のもとに通い続け、とうとう男の子の目の前で亡くなってしまいました。莫大な財産を彼に残して。
そして、それからというもの男の子の目から涙が止まらなくなったのです。まるで、恋人が亡くなったかの様にー。
終わり
今回はちょっと、ファンタジーを狙ってみましたが……はずれましたね!やっぱり難しいですね、ファンタジーは。次はおちゃらけるお題だといいですねぇ。
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