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プチDAYS 「Lake Boat Story」

未来乗車券を握りしめた旅が終わり、ペンステーションからアムトラックでハドソン駅を目指す。

さっぱり行き先がわからん

途中、窓際席の僕は寝ぼけて頭を目の前のテーブルに思い切りぶつけてしまう。寝ていない日々が続いたのとホッとしたのとで一気に睡魔が襲ってきたのだ。コックリコックリドカン! 同じように娘のぴも大イビキをかいて横で眠っている。

むにゃむにゃ

車窓に流れる景色。ニューヨークというとマンハッタンを思い浮かべる人が多いと思うが、意外にもニューヨークは広い。ハドソン川とニューヨークハーバーに面した都会マンハッタンは一番最南端と言える。そこから北へ向かいカナダ国境まで広がる地域をアップステートニューヨークと呼ぶ。バッファロー、アルバニー、ウッドストック、、、。森、滝、渓谷、川、湖、、、そして個性的で可愛らしい家々。駅は誰でもどこからでも改札を通らずに入れるし、アムトラックを到着を今か今かと待ってるホームの地元の人たちの顔を見るのも楽しみの一つだ。ペンステーションから目的地のハドソン駅まで2時間の旅だ。

点在する家々

「今スタバにいるのよ。すぐにピックに行く。そこで待ってて」

Keiko Aokiさんはそう電話を切ると1分で僕らの目の前へ現れた。

「Keikoさん、ありがとう! わざわざ迎えにまできてくれて」

「仕事やり終えて疲れたでしょう、Kay!」

二人は抱き合う。

今回のメンバーはKeiko Aokiさん、 Hiroさん(よくKeikoさん宅で一緒に過ごす事業家、通訳)、Kay(僕のマネージャー)、そして僕。2泊3日の途中には獺祭(酒造)のNY支部S氏がポキプシーの街から合流する。犬チームはKeikoさんちの「コメ」と「ぴ」。

「ハドソンってハドソン川から船で運ばれた芸術品がこの街で売られるようになってアートの街として発展したの。アメリカ1のアンティークが揃う場所なの。名残があるでしょう?」

すでにぴ用のチキン、トマトそして滞在中の料理の食材を買い揃えたKeikoさんはそう言って車窓を開け、風に髪をなびかせる。Hiroさんが車をpull over(脇へ停めること)する。Kayと僕がそれぞれお気に入りのワインを調達するためだ。歩道へ降りる。

「あ、あなた。Senriさん! ちょっとその画角、いい! 一枚撮影してあげる」

僕から携帯を奪いパシャ! と撮影した。

👍

「Senriさんは赤のセレクションをなさってください。私は泡と白を調達しますので」

Kayはサクサク先に会計を済ませ店の外へ出て行った。

悩む。

悩んだ末、感謝を込めて極上の1本を開けることを想定し、ナパの王様、カベルネ、そしてトスカニーのマルベック、でテーブル用キャンティ、合計3本にする。

紙袋に入ったワインを抱え外へ出ると、笑顔のHiroさんが僕からワインを受け取って車の後部へと置いてくれる。

天気予報じゃ「雨」だったのにぴーかんである。「眠そうなフクロウの湖」という地区の別荘に到着する。途中この辺りの地名と言ったら「殺人犯の崖」とか「ねこ殺しジョーの丘」とかなかなかspooky。おどろおどろしい絵本の中に紛れ込んだような。どんどんローンチ(牧場)を超えて森や池を見過ごし角を数本曲がるとKeiko邸だ。

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