大江千里DAYS"10月は黄昏の国”
振り子のように揺り戻しがある。現実の忙しさに追われていると気がつくとズッポリ空想に耽ったりする。僕の10月のDAYSは黄昏の国。
数日前、N Yは暖房(セントラルヒーティング)が入ったのだが、また 振り出しに戻ったかのように暖かくなって、今日は冷房をかけている。2日目前ダウンジャケットを着ていたのが嘘のように、今日昼間は短パンにTシャツだ。10月というのは、こうして束の間の明るさが闇の深さをきわだたせる月だ。
怪異と幻想と夢魔の世界がなまなましく息づく10月。フランクロイドライトという建築家の「Falling Water」を見たくて車のハンドルを握った。友人が「一緒にフランクロイドライトを見に行こう」と誘ってくれたのだ。
とてもロマンティックで社交的で冒険心に富んだ友人の出した「滝の家」見学案は、自然の滝の上に建った建築を感じる旅だった。まるで滝が生活の真ん中にあるようなイメージは幻想的で、僕には絵本の中の世界だった。NYからバージニアまでの旅はちょっとした小旅行。車窓に映る景色も秋一色で刻々と移り行く紅葉の色さえ愛おしい。
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