バードランドの2代目オーナー、ジャンニさんから「1セットの時間は90分」と釘を刺された。
「東京ではどうだった?」
「75分だよね、確か」
「普通はそうだ。大丈夫かな90分」
「ま、Senriはmcで喋るしね」
「逆に90分いっぱいやっちゃ、2部への転換ができないしね」
「そうだよ。ジャンニの表現が違うだけでいつもと同じだよ」
「そうだよね」
真剣な顔で1部の始まる前、事務所へ消えていったジャンニさんの背中を見やりながら、トリオはそんな会話をした。先代から受け継いだ「NYの目」ウエストサイドのこの店はジャズベニューであると同時にエンタメの殿堂だ。楽屋にライザミネリ、エラフィッツジェラルド、デュークエリントン、フランクシナトラなど錚々たるアーティストの写真がある。
最初のセトリ。
1部と2部は基本同じ内容なのだが、オープニングの曲と後半への立ち上がりの曲が1部と2部で違う。こうすることにより両セットの印象がガラッと変わる。両方のセットを鑑賞される方へのささやかなサプライズだ。