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ブルックリン物語 #82 「ミネソタサウンドマシーンがやってきた!」(4)

どれほど眠ったろう。昨日の演奏はブラックドッグカフェの土曜日のジャズナイトの観客を虜にして盛り上がった。しかし頭のフィルムを巻き戻すと頬が赤くなる様な箇所もあった。リハで決めたルールが途中で曖昧になりお互いに何度か顔を見合わせる瞬間とか。そこらへんを今夜は本番前のリハで再度確認だな、天井を見つめそう心で呟いた。

しばらくベッドの上でストレッチをしながら、朝の手前の暗闇の「無」の中にじっといた。なにも起こらない無音の世界に。

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よし!一気にベッドから起き上がりカーテンをサッと開ける。新しい朝に眩しそうに目を細める僕は大きなあくびをした。

シャワーを浴びよう。

熱いお湯を背中に当ててゆっくり気持ちと体を解き放ち、今日もまんざらじゃない気分に設定完了。次は胃袋だ。Kayにテキストを送り階下のラウンジで待ち合わせて朝食。レーズンのベーグルにマーガリンとジャムを塗りコーヒーで流し込む。マインドセットのギアがセカンドに入る。

散歩へ出かけよう。

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冬の始まりを感じさせるミネソタの街を早足で歩く。1時間ほど冷たい空気で肺をクレンジングしてからホテルに戻り、一瞬ぴに挨拶しにKayの部屋に立ち寄ってから自分の部屋でイメージトレーニングをする。鍵盤に触れずに頭の中だけでイメージしてピアノを弾く。黒鍵と白鍵の山と谷の隙間をドローンカメラで巡る様な時間だ。

すぐにお腹がすいてくる。

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ランチの時間。セントポールに来てからここんところ毎日通っているメキシコ料理の店でシラントロ(パクチー)のライスや魚を食す。昨日盛り上がりの頂点だったブラックドックカフェは目と鼻の先なのにここは別世界だ。夜が昼になり土曜日が日曜日に。ベニューからの帰り道に見た月や星を浮かべた昨夜の空が昼間の太陽を浮かべ僕を手招きしている。

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