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NEW DAYS ★ プチDAYS★ブルックリン物語

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ブルックリン在住の大江千里が日々の暮らしを綴る6000字前後の読み応えあるエッセイ。「NEW DAYS」も仲間になりました。単行本『ブルックリンでジヤズを耕す 52歳からのひとり…
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2024年4月の記事一覧

短期連載 「Senriと良子のおしゃべり泥棒」3

3日目のレッスンはローレン先生が我が家にやってくる。久しぶりの再会にRyokoさんとローレンは抱き合って喜び合う。ぴも尻尾を振って喜んでいるのが見える。 随分、何度も床を拭いたり模様替えをしたりしてぴの残した跡を消して綺麗になった部屋のレイアウトを見ても「わー」としか言わないRyokoさんに、無言の愛を感じながら音楽室へ誘う。 アメリカ流だとペットが亡くなった時は慰めの温かい会話やハグが続く。それぞれの表し方なので、ローレンのそれもRyokoさんのそれも、どちらもありがた

短期連載 「Senriと良子のおしゃべり泥棒」4(最終回)

洪水や強風だからってガッカリせずに、目先を変えて古着や帽子を見ておいてよかった。「あ、これいい!」とRyokoさんがその場で即決されたものは10代から着続けてるって言ってもいいくらい似合ってて、レッスンの気持ちを上げてくれる。側で見てるこっちまでウキウキするのだ。 時間なんて一旦流れ始めたらあっという間にそれこそ土砂降りの雨のようにどんどん濁流になり、溝から川へ、川から湾へ流れていってしまう。ローレンの授業の後の2日間はJunkoレッスン。どんどん覚えてどんどん忘れてまた覚

短期連載「Senriと良子のおしゃべり泥棒」2

大変だ。 ローレンからのメール。 「Hampton Bayへのドライブなんだけど、、、、かなり厳しい状況みたい。もしかしたら朝に連絡取り合ってキャンセル、Alternative (他の案)を考える、ってのも視野に入れましょう!」 ガーン。 せっかく短期のレッスンの今回のステイであの素晴らしいニューヨーク郊外のハンプトンベイへRyokoさんを連れてって差し上げようと思っていたのに。 人間って不思議なもので一つのアイデアに縛られる傾向がある。これ!って決めたらそこに「こ

短期連載「Senriと良子のおしゃべり泥棒」1

Jazzの話をするRyokoさんが晴れやかだ。楽しくてしょうがない顔😃! 昨日日本から森山さんがきた。森山良子さん。ツアーの合間を縫って。 「空港からは1人でタクシーでホテルまで行けるからお迎えは必要なし。」と勇ましい。 僕は基本的に心配性なので「大丈夫かな」と気が気じゃない。でも思ったよりもうんと早く「もう部屋よ。快適。」とくったくないメールが手元で鳴る。早速今回のOverviewを話にプロジェクトのメンバーでありニュースクールの恩師でもあるJunkoさんとホテルへ向

特別寄稿プチDAYS 「赤い風船」

ぴの持ち物をかなり処分したのだけれど、意外な大物、おしっこシートの未開封とLast Daysで使ってた開封したものが残ってた。いつまでもウチに置いといてもしょうがないので、 「ね、これ使う?」 と友人のジャズシンガーまみちゃんにテキストした。すると、 「使う使う」 ということだったので、ホッと胸を撫で下ろし、 「じゃ、近いうちに鍋をやるね。」 「じゃ、その時に!」 の流れになった。 当日には彼女の愛犬「ネネ」にも来てもらうように伝えたら、「ほんとう?」とまみち

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プチDAYS「友人のブロンクスの新居へ」

友人がブロンクスに引っ越したので、House Warming Gift (新居祝い)のヴーヴクリコを抱えて、さっそく伺って来た。 なぜシャンパンかと言うと「消え物」が貰う方も煩わしくなくて良いかなと思うから。部屋の調度品とかだとその人の趣味があるし、友人とは言え微妙なニュアンスまでは計り知れないので、笑って済ませるものがいいかとシャンパンで。 これなら僕がSober(酒を飲んでいない人)でも、「お前が飲まねえのかよ!チャンチャン!」でオチがつく。予めリバービューの高層階の

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