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NEW DAYS ★ プチDAYS★ブルックリン物語

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ブルックリン在住の大江千里が日々の暮らしを綴る6000字前後の読み応えあるエッセイ。「NEW DAYS」も仲間になりました。単行本『ブルックリンでジヤズを耕す 52歳からのひとり…
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記事一覧

特別寄稿 「大きなソロの木の下で」

随分前からパッキングを前倒しでやってたはずなのに 、出発はまたバタバタで飛び出してしまった。 エバンに「ニューヨークで、世界で、いや宇宙で、そして特に日本で一番クールな髪型」に仕上げてもらい(エバン曰く)、後ろの刈り上げには、 「いつものように2本、バリカンで線を入れとくね!」 とニコッと笑って送り出された。

プチDAYS 「エバンのところへ向かう。」

旅に出る前の冷蔵庫の整理が大変だ。 毎回、帰ってくると変形してる玉ねぎやカビの生えた漬物などの処理に追われるので、今度こそはスッキリ旅立つ前の晩までに使い切ってさっぱり冷蔵庫を空にしてから出ようと思う。 ただし気に留めておかねばならないのは帰宅後の夜。本当に何もないとブルックリンは夜9時を過ぎると開いてるコンビニが少なくなるのでカップ麺とかドリンクとかを非常用に備えることもやっておかねばならない。

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プチDAYS 「6月が過ぎていく」

あ、そう言えばもういいんだ。 と気づき、あ、そうかと納得する日々がある。 あ、もうぴの夕食の用意しなくてもいいんだ。あ、薬をrefill(補充する)しなくてもいいんだ。あ、早めに帰宅しなくても、爪を切りにサロンへ連れて行かなくても、病院の予約をしなくてもいいんだ。 なにも焦ることがないのは寂しいものだ。 いいんだの一環で、あ、お香を焚いてもいいんだ、と言うのがある。ぴはゲホゲホするので、お香は辞めていたのだが、朝のコーヒーのお供に久しぶりに焚くお香は本当に気持ちがいい

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プチDAYS 「メトロポリタンオペラ!」

「turandot」一人で鑑賞する。 本当にチケットが取れたのか数日前からソワソワする。実はさっきもFM COCOROと書いて巡回してるとアルゴで@FMCOCOまで入力すると「LO」が出てきてびっくりする。RO じゃなかったんだ? 慌てて全巡回のやり直し。 この手のことが日々増えていく。 昨日も歯医者へ行ったら、 「予約取れてないよ」 で大騒ぎ。病院の機転で同じ時刻にリスケやり直してもらう。 「turandot」は派手好きの僕には大好物のオペラでzhang yi

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プチ投稿 「えぶりばでい だんすなう」

最近目から鱗の健康法がある。 それは朝晩のストレッチだ。 なんてことはない。体をほぐして伸ばし20分ぐらいリラックスするのだ。Ryoko さんから「これだけよ、あたしの健康法は。」と教えられ、やってみるとこれがメチャクチャいい。あ、この「メチャクチャ」と言う表現、オヤジ世代が最もよく使う単語らしい。 床に寝っ転がってくるんと足を頭の先へ丸める。久しぶりにやってみると足が床につかない。ぐんぐん腰を押してみるけれどまるで壊れた人形のようにぶらんと宙で固まったまま。「これが老

プチDAYS「ナッチョからの手紙」

ブエノスアイレスで活躍する元クラスメートだったジャズピアニスト、ナッチョからメッセージが来た。 「7月から9月まで日本のCruiseboatの仕事が入ったらから東京に行くんだ。もしよかったら二人で一緒にコーフィーでも飲もうよ。」 不思議なことがあるものだ。昨日Walkingの最中に彼のことを思い出していたのだ。ここ数日綺麗な空や海の写真を投稿したナッチョに「いいね!」を押し、そういえば以前から公言してる「存在しない映画のサウントラトラック」の中で、彼と一緒にやれたらなと思

短期連載 「Senriと良子のおしゃべり泥棒」3

3日目のレッスンはローレン先生が我が家にやってくる。久しぶりの再会にRyokoさんとローレンは抱き合って喜び合う。ぴも尻尾を振って喜んでいるのが見える。 随分、何度も床を拭いたり模様替えをしたりしてぴの残した跡を消して綺麗になった部屋のレイアウトを見ても「わー」としか言わないRyokoさんに、無言の愛を感じながら音楽室へ誘う。 アメリカ流だとペットが亡くなった時は慰めの温かい会話やハグが続く。それぞれの表し方なので、ローレンのそれもRyokoさんのそれも、どちらもありがた

短期連載 「Senriと良子のおしゃべり泥棒」4(最終回)

洪水や強風だからってガッカリせずに、目先を変えて古着や帽子を見ておいてよかった。「あ、これいい!」とRyokoさんがその場で即決されたものは10代から着続けてるって言ってもいいくらい似合ってて、レッスンの気持ちを上げてくれる。側で見てるこっちまでウキウキするのだ。 時間なんて一旦流れ始めたらあっという間にそれこそ土砂降りの雨のようにどんどん濁流になり、溝から川へ、川から湾へ流れていってしまう。ローレンの授業の後の2日間はJunkoレッスン。どんどん覚えてどんどん忘れてまた覚

短期連載「Senriと良子のおしゃべり泥棒」2

大変だ。 ローレンからのメール。 「Hampton Bayへのドライブなんだけど、、、、かなり厳しい状況みたい。もしかしたら朝に連絡取り合ってキャンセル、Alternative (他の案)を考える、ってのも視野に入れましょう!」 ガーン。 せっかく短期のレッスンの今回のステイであの素晴らしいニューヨーク郊外のハンプトンベイへRyokoさんを連れてって差し上げようと思っていたのに。 人間って不思議なもので一つのアイデアに縛られる傾向がある。これ!って決めたらそこに「こ

短期連載「Senriと良子のおしゃべり泥棒」1

Jazzの話をするRyokoさんが晴れやかだ。楽しくてしょうがない顔😃! 昨日日本から森山さんがきた。森山良子さん。ツアーの合間を縫って。 「空港からは1人でタクシーでホテルまで行けるからお迎えは必要なし。」と勇ましい。 僕は基本的に心配性なので「大丈夫かな」と気が気じゃない。でも思ったよりもうんと早く「もう部屋よ。快適。」とくったくないメールが手元で鳴る。早速今回のOverviewを話にプロジェクトのメンバーでありニュースクールの恩師でもあるJunkoさんとホテルへ向

「続・Senriと良子のおしゃべり泥棒」2

Ryokoさんの携帯のネットが繋がらないのはなぜ。前は空港からバンバンラインメールを頂いてたのに。恐ろしいもので携帯がなければ何も出来ない。文明の力に振舞わされ翻弄される私たち。ううむ。 ネットを検索「海外で日本の携帯が繋がらない」を調べる。️いくつかの可能性が出て来たのでその通り解決法を試してみる。しかし一向に繋がらない。東京へ連絡。するとRyoko さんの海外パッケージ情報が送られてきた。 「海外旅行をした時ネットを使う場合」のアプリが携帯画面にDLされてて、ガイダン

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「続・Senriと良子のおしゃべり泥棒」 3

毎日真っ黒に鉛筆で塗りつぶしたスケジュールを涼しい顔でこなすRyokoさんを"鉄人"だと思う。前回は、レッスンの前後の食事を僕から誘うのは極力避けていたのだが、今回は違う。 「ぴちゃんを亡くした今、Senriさんをそっとしておいてあげた方がいいのかな?」 と思ってくださってる事を痛いほど感じるので、もしもRyokoさんさえ嫌じゃなければせっかくのブルックリン滞在、いっぱいローカルボーイ(おっさんだが、汗)が好きな場所をご紹介したい。 「あらん、森山さんやーん、こんなとこ

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「続・Senriと良子のおしゃべり泥棒」1

良子さんがやってくる。 ジャズのアルバム制作、そしてそのリリースに向けて準備を淡々とするRyoko Moriyamaが3回目のNYCへジャズ留学にいらっしゃる。 RyokoもSenriもネズミ年。どっちが上かしたかなんて関係なく、二人の共通点はちょこちょこ歩き回るとこだ。 二人は30年ほど前からの付き合いで、最初の出会いはSenriが代々木上原のスタジオでリハーサルをしていた時に遡る。85年? ある日スタッフから、 「あの森山良子さんがリハstudioに『Say Hi

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ボストンおひとり様食べ歩き!🔸前編🔸

朝11時にホステルにチェックイン、ボストン1日目の最初のランチは和食にしました。ドキ胸❤️ テクテク歩いてバックベイのこの店、和食の「⭕️⭕️⭕️⭕️⭕️⭕️2」に決定!(宇宙戦艦で有名な名前。ローマ字綴り。)あまりの腹ペコもありチャチャッと済ませたい気持ちで選んだのが運の尽き!😱😱 開店時間15分前に行った僕はこの大箱レストラン(200人は入る)のイチバンノリの客でしたが、無愛想なメートルディーは「あっちで待っとれ!」と僕を顎で指図しノロノロ床拭いたり空気清浄機洗ったり