インディ・ジョーンズ レイダース/失われたアーク《聖櫃》 感想メモ(ネタバレ)

 テーマがどうのこうのというよりも、単純に娯楽として面白いと思った。
 あえて言うならば・・・・・・人間は今を生きるものであり、過去にはなれないということか。
 なんとなくカメラワークがすっきりしていて、画面が見やすく感じた。

 主人公のインディの性格が意外だった。鑑賞するまで、インディ・ジョーンズはもっとクールな感じをイメージしていたのだが、意外と人間味のある(?)感じだった。頭が切れるように見えて、爪が甘いという印象(あくまで私の中でですが)。あとトレジャーハンターという職業柄か、仲間に裏切られやすかったり、反対に捕らわれているマリオンを置いていったり。
 研究者としては人気があるようだ。生徒たちはインディがトレジャーハンターだと知っているのだろうか(知っているから人気なのか)? ただ、トレジャーハンターと考古学者というのは、似て非なるものだと思う。
 トレジャーハンターは、悪く言えば盗賊に近く、考古学者はもっとクリーンな感じ。インディの二面性。実際に考古学の授業シーンでは、盗賊の行為を否定している。しかしこの二つの面を結びつけるのが、彼の歴史が好きという情熱だ。

 一般人(政府関係者)によると、インディのイメージは「考古学、オカルト家、古代美術家」らしい。(ただし、インディ自身は超常現象的なオカルトを否定している)
 タニスとは何だ、アークとは何だ、何が何だかさっぱりな政府人とは対照的に、インディと彼の上司マーカスはピンと来た様子で、ちんぷんかんぷんな会話をし、この質問に即答する。一般人側からみるとこの二人、かなり危ないように見える。政府関係者の「大丈夫かなこの人たち」みたいな顔が面白い(この後も結構こういう顔をするシーンがある)。

 ヒロイン・マリオンについて。
 マリオンは酒が強いという設定をストーリーに生かしていた点が良かった。この作品は伏線を張るのが上手い。マリオンとベロックの対決が、二人とも笑いながら心の底では別のことを考えていそうなところが良い。彼女、結構強気(そこが良い)。

 ライバル・ベロックは強敵に感じた。冷徹で、頭脳明晰、インディより一枚上手といった印象。個人的な感想では、インディが目的のために一歩進んだら、ベロックは三歩先を行っている様なイメージ(言い過ぎか)。あとフェミニスト(マリオンだけ?)というのが意外。そういえば序盤でインディがピンチに陥った時に、たくさんの子供たちがやってきてベロックの戦意を喪失させたシーンがあったが、あれは子供に対してベロックは慈悲があるということだったのだろうか?(それとも弱い子供なんかに守られるなんてダサすぎ、みたいな感じで戦意喪失したのか、少し疑問)最終的に宝も女も取られてしまうのは少しかわいそう。

 ヒトラーはアークの力によって最強の軍隊を作りたいのだが、雇われているベロックの目的は別にある。それは、アークを通じて神々と交信すること。自分の目的のためにヒトラーでさえも利用しようとするしたたかさには恐れ入る。ベロックに限らないが、登場人物は、皆誰かのために行動するというよりも、自分中心に考えて行動するタイプが多い気がする。

 また、インディとベロックは意外と似ていると思う。考古学を愛している点や、トレジャーハンターな点など。

 インディが冒頭で冒険していた時に裏切られた仲間と、アークの時にサポートしてくれるサラーは、役割上、なんとなく動きが似ているように思う。遺跡の置物に驚いたり、案内訳をしていたり、インディを自分より先に行かせたりする所とか。

 テーマが考古学、トレジャーハントなだけあって、「歴史」がキーワード。
 人間は、時を常に移動していかねばならない。過去とは歴史だ。
 何故インディはクライマックスに「見るな」と言えたのだろう。神話の「見るなの禁」を彷彿させる。

 何とか危機を乗り越え、アークを手に入れたインディ。しかし、考古学を愛し、歴史を究明したいインディとは違い、政府はアークを巨大な倉庫に閉じ込める。政府はただ、アークの力を他国に利用されたくなかっただけであり、そこに謎を解明したいという気持ちはなかった。結局アークは場所が変わっただけで、元通り封印された状態になってしまったのだった。

 伏線やコメディ部分が面白かった。
 メダルのコピーをやけどから手に入れていたり、また、そのせいで片側しかコピーできていなかったり、サルが死んでしまうシーンも、上手い流れだった。
 敵がノリノリで剣を振り回しているのに、インディは面倒臭そうに銃で撃ち殺すシーンや、マリオンが鏡を思い切り回してインディが顔をぶつけるシーンはかなり面白い。その後ひじにキスするシーンも良かった。
 マリオンが酒対決をした後に、敵に手首を押さえつけられてナイフが落ちるシーンも好き。



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