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ピーターパンのいない公園

子供の頃から、閉園後のケンジントンガーデンズは妖精達が歌ったり踊ったり宴を開いたりしていると聞いて育ってきた。
もう大人になってしまった僕はきっとその宴に混ざれないけれど、昨夜行われていたであろう宴のことを思いながら、ピーターパンが次の宴まで眠りについているであろう、サーペンタイン池の鳥の島を眺めているのが好きである。

ロンドンに遊びに行くと絶対に会いに行く2人。大英博物館のラムセスⅡとケンジントンガーデンズのピーターパン。
アーサーラッカムの挿絵とは似ても似つかない、サーペンタイン池のほとりで笛を吹くピーターパン像は、どちらかといえばネバーランドでフック船長相手に大立ち回りをかます方のピーターパンくらいの年齢に思える。

いずれにしろ、ネバーランドも鳥の島もおそらく常若の国なので現で暮らす僕にとってはどちらも不可侵なのだろうけど。
その不可侵と周りの鳥達を眺めておる時間が、とてつもなく愛おしく思えてくる。もう3年半もあの場所に行っていない。

さて、話は変わって、新宿御苑でぶらぶらしたり、ごろごろしたり、ぼーっとしたりするのも好きである。
これまであんまり日本庭園エリアには行っていなかったのだけれど、最近日本庭園エリアに行って気づいたことがある。

中の池(スターバックスの前)には鴨がたくさんいて、池の中に島が浮かんでいる。そしてその島の木々から鳥達が飛び立ったり、戻ってきたりしているのを見て、サーペンタイン池の鳥の島みたいだと気づいた。
見た目は全く似てないけど。でもそう思ったら、その景色が愛しく思えてきたし、なんとなく新宿御苑にも妖精とピーターパンがいるような気もしてきた。ほんとはいないけど。

池のほとりに座って、島の前でわきゃわきゃしてるメスのマガモや、池をすいーっと行ったり来たりするオスのマガモを眺めていると、違うとわかってるんだけど、全然違うんだけど、サーペンタインロードから鳥の島を眺めているような気持ちになれるのです。不思議。

今更ですが、冒頭の〜育ってきたという発言が怖くなってた。だってうちの親はそういうことを知らないし、興味ないからね。
でも育ってきたんです。それは書籍によって。

英語を勉強したり、広報したり、民俗学を学んだりしています。