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『麒麟がくる』の最終回予想

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  織田が捏ね 羽柴が搗きし天下餅 座りし侭に食うは徳川

という「天下餅」の狂歌が小学校の教科書に載っている。これは、

織田信長は、日本全国の平定前に討たれ、
豊臣秀吉は、日本全国を平定したが1代限りで終わり、
徳川家康が、長きにわたる天下泰平の世を作った。

という意味で、ネットでは、

「麒麟を呼んだのは、徳川家康」
「麒麟が来るのは『麒麟がくる』の最終回ではなく、『どうする家康』の最終回」

とつぶやかれている。

「戦国時代」の始まりと終わりについては諸説あるが、通説は、
★開始
・1467年の「応仁の乱」勃発
・1493年の「明応の政変」勃発
★終結
・豊臣秀吉が関東&奥羽に惣無事令を発布した1587年
・豊臣秀吉の全国統一の軍事活動が終了した1590年
・豊臣秀吉が奥州仕置を完成させた1591年
といったところである。
 終結を「大坂の陣」とする考え方や、「島原の乱」とする考え方もあるが、戦国時代は、徳川家康が終わらせたのではなく、豊臣秀吉が終わらせたと考えて良い。

 ──ちょっと待て。

基本に戻ってみよう。

本能寺の変を起こした明智光秀を通して描かれる戦国絵巻。仁のある政治をする為政者が現れると降り立つ聖なる獣・麒麟を呼ぶのは、一体どの戦国武将なのか…新たな時代の大河ドラマが今始まる!
https://twitter.com/nhk_kirin

「麒麟」は、「平和な世に来る聖獣」ではなく、「仁のある政治をする為政者が現れると降り立つ聖獣」である。

 私が『麒麟がくる』で注目しているのは、豊臣秀吉の陣羽織に描かれた龍の成長である。第一形態「雨龍」から、最終第五形態「昇龍(応龍?)」まで、5着用意されているという。
 日本人は、「鯉が百瀬の滝を登り、登龍門を登りきって龍になる」と信じているが、中国人は、

※任昉『述異記』(巻上)
水虺五百年化為蛟(水虺(まむし)は500年経って蛟(雨竜)に変化し、)
蛟千年化為龍  (蛟(みずち)は、1000年経って竜(成竜)に変化し、)
龍五百年為角龍 (竜は、500年経って角竜(かくりゅう)に成長し、)
千年為應龍   (角竜は、1000年経って応竜(おうりゅう)となる。)

と、マムシが龍になると信じており、『麒麟がくる』は、マムシ(斎藤道三)から応龍(豊臣秀吉)に至るドラマだと言える。

 さらに、

先龍が霊亀(れいき) を生み、霊亀は甲虫類を生む。
蛟龍が鯤鮫(こんこう)を生み、鯤鮫は魚類を生む。
応龍が麒麟(きりん) を生み、麒麟は獣類を生む。
飛龍が鳳凰(ほうおう)を生み、鳳凰は鳥類、羽虫を生む。
獣類の長・麒麟は仁政の地に現れ、
鳥類の長・鳳凰は徳政の地に降り立つ。

とされる。鳳凰は天皇の象徴であり、麒麟は応龍の陣羽織を着た豊臣秀吉が呼ぶのである。

 豊臣秀吉は、「『平らかな世』とは『昔の私のような貧乏人がいない世』だ」と言い、寄って来た子供たちに「彼らは昔の自分だ」と言って小銭を与えた。これは、豊臣秀吉による仁政の芽生え(龍だけに「片鱗」)である。

「最終回は意外な形で終わる。意外と言っても『まさか、こんなことを?』ということではない。そこは史実にのっとる形になる」(制作統括・落合将チーフ・プロデューサー談)
https://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2021/01/02/kiji/20210102s00041000140000c.html

 「史実にのっとる形」とは、「明智光秀が織田信長を討ち、その明智光秀を豊臣秀吉が討つ」ということであり、「意外な形」とは、『麒麟がくる』は「明智光秀と織田信長のダブル主演の物語」であり、「明智光秀と織田信長のどちらが麒麟を呼ぶのか?」と視聴者を煽っておいて、結論は、意外にも、「豊臣秀吉が麒麟を呼ぶ」という形になるということではないだろうか?
 『麒麟がくる』では、主人公の明智光秀はもちろん、織田信長も、天皇も、将軍も、「麒麟」について語っているが、まだ語っていない人物がいる。豊臣秀吉である。こういう語っていない人物、蚊帳の外に置かれている人物が最も怪しい。

  織田が居て 明智が討ちし本能寺 最後に麒麟を呼ぶは豊臣

以上、『麒麟がくる』の最終回を「明智光秀が織田信長を討ち、その明智光秀を豊臣秀吉が討って麒麟を呼ぶ」と予想してみた。

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